証拠の顕出方法についてのルールは少なく、どちらかというと実務の運用上の工夫に委ねられてきた部分が大きい。しかしながら、証拠の顕出方法も、証拠能力と同様に、公判中心主義、直接主義、口頭主義といった公判及び証拠の基本原則に関係するテーマである。本研究は、直接主義を採用するドイツ刑事訴訟法における取調べの録音・録画記録の実質証拠としての使用の条件をめぐる議論や、当事者主義を採用するアメリカ証拠法の修正原理としての最良証拠主義論が証拠の顕出順序や条件に及ぼす可能性の考察を通じて、日本の実務が直面している証拠顕出に関する諸問題を解決するための法的視点を提供できたことに学術的意義や社会的意義が認められる。
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