研究課題
基盤研究(C)
刑事立法の理論的分析を目的とし、刑法の基本原則の憲法上の位置づけに関する研究およびドイツで興った刑事憲法学の手法研究を行った。前者については、責任主義の憲法上の位置づけに関する独米の比較法調査を行い、日本において責任主義を憲法上の原則となし得るかは、いかなる内容の責任主義を問題とするか、および憲法何条の解釈論としてそれを展開するかに依存することを示した。方法面では、刑事憲法学の実装に向けて、ドイツにおける主要論文の翻訳公刊を行った。以上をうけて、刑事立法学の全体像のプロトタイプを提示した。
刑事法学
刑法の基本原則の憲法上の地位につき、比較法調査に基づく検討基盤を提示した点は、従来の研究の欠落部分を補うものであり、この点に理論面での貢献がある。また、刑事憲法学に関する重要文献を翻訳し、オープンアクセスで公表したことにより、ドイツの議論状況を相当程度日本語で把握することができるような状況を創出した。この点に学術的・社会的意義がある。さらに、刑事立法学の全体像を示したことにより、今後の学界の議論にたたき台を与えたことになる。この点は学術的に大きな貢献であると考える。