研究課題/領域番号 |
20K01361
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山木戸 勇一郎 北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (20623052)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 民事執行法 / 形式的競売 |
研究実績の概要 |
形式的競売の手続規律に関しては、民事執行法195条が「担保権の実行としての競売の例による」と規定しているにとどまることから、その具体的な内容の多くは解釈に委ねられている。そして、形式的競売の特殊性を強調した旧来の解釈論(配当等の手続の実施の否定・全面的な引受主義の採用など)を前提にすると、目的物の売却には困難が生じることになるものの(これ自体大きな問題であるとは言えるが)、手続規律に関しては特に難問は生じなかった。これに対して、そのような特殊性を否定する近年の解釈論(配当等の手続の肯定・原則的な消除主義の採用など)を前提にすると、手続規律に関して派生的に解釈上の難問がいくつか生じることになる。形式的競売に関しては、立法過程が不明であるために沿革を遡る研究手法を採ることが困難であり、比較法研究もほとんど行われてこなかったため、本研究においては、わが国の形式的競売に相当する諸外国の競売手続の規律をも参照しつつ、近年の解釈論から派生的に生じる解釈問題を中心として、形式的競売の手続規律について考察・解明することを目的としている。本年度は、新型コロナウイルス感染症による社会状況の影響によって外国法等に関する研究準備等を十分に行うことができなかったため、日本法に関する再検討を行うこととした。具体的には、不動産の物上負担に関する売却条件の規律の準用についての再検討や無剰余措置の規律の準用についての再検討、また、留置権競売における配当等の受領資格に関する再検討などを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、新型コロナウイルス感染症による社会状況の影響によって外国法等に関する研究準備等を十分に行うことができなかったが、日本法を前提とした検討については一定の成果が得られているため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度においては、本年度と同様の社会状況が継続する場合は、本年度に検討の対象としなかった形式的競売の諸類型に関して、本年度と同様に再検討を進めていくこととする。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、所属研究機関および資料収集先の機関の行動指針レベルが厳格化されたことによって、研究会、研究打合せ、資料収集などの活動の実施を延期せざるを得なくなったため。次年度は、書籍等の研究設備の充実のために使用するほか、可能であれば、研究会出席・報告、研究打合せ、資料収集などの旅費として使用する予定である。
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