研究課題/領域番号 |
20K01364
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
飯田 秀総 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 准教授 (80436500)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 発行開示 / ディスクロージャー / 金融商品取引法 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、株式などの有価証券の発行の際に、有価証券届出書の提出を中心とする金融商品取引法の発行開示規制を発動すべき場合はどのような場合かという問題を考えるにあたり、発行開示規制の発動の必要性を根拠づける原理は何であるかを検討することにある。 本年度は、日本法における発行開示規制の対象となる行為がどのように規律されているかを分析した。具体的には、「勧誘」という概念の分析を行った。先行研究では、この概念は、特定の有価証券についての投資者の関心を高め、その取得・買付けを促進することとなる行為などと解されている。これを前提に、最近の研究では、勧誘に該当するかどうかの要素として、投資者が出捐する(お金を出す)かどうか、および、投資者が出捐について「判断」しているかどうか、という2つの要素があることが指摘されている。この2つの要素から現在の規制を分析すると、現在の規制の範囲の多くはこの2つの要素から説明がつくものの、発行開示規制の対象となる行為である新株予約権無償割当てについてはこの2つの要素からは必ずしも説明がつかないことなどを明らかにした。この点は、規制を発動するべきかどうかの線引きについての現状を明らかにすることにより、上記の本研究の目的の出発点を確認する意義がある。 また、本年度は、主要株主が公開買付者との間で公開買付け応募絵契約を締結することが売出しという発行開示規制の対象となる行為に該当するのかどうかという問題を検討した。この場合には、従来の発行開示規制の根拠とされてきた情報の非対称性や販売圧力の問題があるとは考えにくい場面であるにもかかわらず、一定の場合には売り出しにあたるという結論にならざるを得ず、現行法の規制範囲が広すぎるのではないかという問題があることを明らかにした。この点は、本研究の問題を解明することで、より合理的な規制へと改善できることを示すものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの影響により、大学の施設利用が制約され、海外出張も中止になるなど、事前に全く想定していなかった事情が発生したため。
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今後の研究の推進方策 |
日本で入手できる資料を中心に日本法及び米国法における規制の経緯・歴史を調査することとし、研究を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響で大学の研究室の使用が制限されるなどしたため、想定外に研究の進行が遅くなり、また、国内外の研究者との意見交換を持つための出張などもすべて中止となった。使用計画としては、主として、金融商品取引法に関する日米の書籍の収集に用いることを予定している。
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