研究課題/領域番号 |
20K01366
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
村田 健介 名古屋大学, 法学研究科, 准教授 (00551459)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 所有権 / 精神的損害 / 不法行為 / 慰謝料 / 財産権 / 損害賠償 |
研究実績の概要 |
本研究は,主として,実務の処理についてその論拠が説得力を持って明らかにされているとは言い難い,(長期的には財産権侵害一般を扱う予定であるが,当面は)所有権侵害により生じる精神的損害の賠償のあり方について,理論的な説得力を備えるとともに,実務的な感覚や一般市民の意識にも留意した法的処理のあり方を明らかにすることを目指すものである。これらを明らかにするにあたっては,国内の状況のみならず,他国,とりわけフランスの状況をも参照することとしている。 令和3年度においては,日本法の検討の深化とフランス法の検討とを並行して行うこととしており,その方法として,文献検討やインタビューを行うことを想定していたが,令和2年度同様,特にフランス法については,年度を通して新型コロナウイルス感染症の影響が続き,現地で文献収集・インタビュー調査ができなかったこともあり,計画通りの検討はできなかった。 もっとも,その分,(本研究との関係では未だ公表に値するだけの示唆を得るには至っていないが)手元にあるフランス不法行為法の体系書等によって,フランスの不法行為法の損害論,特に慰謝料に関する議論一般に関する検討を行っている。 なお,日本法については,所有権侵害の場合の精神的損害の賠償に関する裁判例のフォローを継続的に行っている。従来の裁判例との関係で注目に 値する裁判例が登場した場合には,随時,詳細な検討を加えて,論稿を公表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画においては,渡仏しての文献収集・フランス人研究者へのインタビューを予定していたが,年度を通して新型コロナウイルス感染症の影響が続き,渡欧 が叶わなかったうえ,大学における活動自体に多少なりとも制約がかかったため。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には,令和3年度までに収集したフランス語文献の詳細な検討を進めることを中心としつつ,随時文献収集を行い,検討を深化させていくこととする。一方で,新型コロナウイルス感染症の状況次第ということにはなるが,渡仏が現実的に可能になれば,フランス人研究者への対面インタビューを通じて,文献検討によるフランス法理解を検証とするとともに,日仏比較につなげていく予定である。 なお,日本法の動向のフォローについては,引き続き進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響でフランス出張が叶わず,国内出張も制約されたため,旅費を中心に次年度使用額が発生した。これら,昨年度に使用することを考えていたものについては,新型コロナウイルス感染症の終息状況次第ということにはなるが,可能であれば,今年度のフランス出張およびその際の文献収集ならびに国内出張に充てる予定である。
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