研究課題/領域番号 |
20K01368
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山下 徹哉 京都大学, 法学研究科, 教授 (10511983)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 金融商品 / 適合性原則 / 保険募集 / デジタル化 / リモート化 |
研究実績の概要 |
本研究は、情報提供モデルの限界と販売チャネルの多様化という金融市場の変化に対応した金融商品の推奨・販売ルールのあり方を明らかにすることを目的とする。 令和2(2020)年度においては、【基盤研究期】として、情報提供モデルおよびその限界を検討するべく、ドイツの議論状況を調査することを予定していたが、これについては基礎的な調査にとどめた。その一方で、令和2年8月3日に、金融審議会市場ワーキンググループ報告書「顧客本位の業務運営の進展に向けて」が公表され、それに基づく令和3年1月に顧客本位の業務運営に関する原則および監督指針の改訂が行われたため、この改訂の研究を行うとともに、この改訂はRegulation Best Interestとも深く関係するものであるから、令和3(2021)年度に予定していた米国のRegulation Best Interestに関する調査を先行させた。ドイツと米国の法制度・議論状況の調査研究はいずれ中途であり、令和3(2021)年度もこの両者の調査研究を継続して行う。 このほか、新型コロナウイルス感染症対策との関係で、金融商品販売、特に保険募集のデジタル化が大きな問題として現れたことから、この点について、保険と他の商品類型を比較させながら、検討を行った。特に書面のデジタル化について、保険と他の商品類型の差異は法制度の相違を説得的に根拠付けるとは言いがたいことを明らかにした。また、書面のデジタル化と募集のリモート化を進める差異の留意点も、前記の顧客本位の業務運営に関する原則等の改訂と結び付けながら、一定程度明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画とは一部前後させて研究を進めているが、全体としてみれば進行は予定通りといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は令和2(2020)年度の研究成果を踏まえながら、令和4(2022)年度前半までの基盤研究期に予定している調査研究を順次進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、国内外の出張の機会が失われたことにより、次年度使用額が生じた。今後は、新型コロナウイルス感染症の感染が収束し次第出張でなければ得られない調査研究を行うとともに、出張をせずとも、リモート会議や文献購入・データベースの契約により、可能な限り必要な情報を入手するように努め、それに必要な経費を支出する予定である。
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