本研究は、近年の金融市場の変化に対応した金融商品の推奨・販売ルールのあり方を明らかにすることを研究の目的とする。米国法およびドイツ法の比較法研究により、第1に、情報提供モデルとその限界の理論的基礎の分析、第2に、金融商品を現に推奨・販売する仲介者のインセンティブ構造とその推奨・販売行為への影響を分析した。その結果、従来の楽観的合理的市場モデルとしての情報提供モデルではなく、悲観的合理的市場モデルとしての情報提供モデルにより、仲介者のインセンティブ構造をうまく設計することにより、市場の機能を引き出しながら、顧客の最善の利益を実現するのが合理的であることを明らかにした。
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