研究課題/領域番号 |
20K01371
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
坂口 甲 大阪公立大学, 大学院法学研究科, 准教授 (20508402)
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研究分担者 |
栗田 昌裕 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (30609863)
粟辻 悠 関西大学, 法学部, 教授 (50710597)
佐々木 健 京都大学, 法学研究科, 教授 (70437185)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 妨害者責任 / 差止請求権 / 物権的妨害排除請求権 / サイトブロッキング |
研究実績の概要 |
本研究課題は、現行法を担当するグループと法制史を担当するグループとに分けて取り組まれた。 現行法グループの実績は、次のとおりである。妨害排除請求権の法的性質を検討するための試金石の1つとして、妨害排除請求権の限界事由の問題がある。ドイツ法においては、妨害排除請求権に履行請求権の限界事由を定めるドイツ民法275条が適用されるかどうかが議論されているところ、議論の対立の背景には、妨害排除に関する法律関係を法定債務関係とみるのか、そうではなく、特殊な物権的請求権とみるのかをめぐる対立のあることが明らかとなった。また、デジタルプラットフォームを巡る法整備の進展と社会の変化に応えるため、プラットフォーム事業者に関する法規制のあり方について多角的な視点から検討を行った。すなわち、コロナ禍において行われた個人情報の取扱いに関する法改正と法解釈を検討し、要配慮個人情報であっても、公衆の生命身体健康が対立利益として典型的に想定される場面では、その程度に応じて、情報の流通を差し止める個人の権利が制限されるべきことを論じた。 法制史グループの実績は、次のとおりである。本研究課題において具体的な制度分析の対象となる古代ローマ法に関して、(1)物権的請求権の祖型とされる相続回復請求に注目し、複雑な利害関係の調整メカニズムの解明を試みた上で、(2)商事法における信認義務の背景にある(ローマ由来の)民刑に跨る責任の在り方を、社会的実践と政体との相関を踏まえて分析した。さらに、(3)古代ローマ法と近代法(あるいは現代法)との間にはそれぞれの法文化的背景に様々な違いが存在することを踏まえ、その違いを明確に認識し、解像度の高い比較を可能とするために、史料読解において必須であるローマ法学特有の用語法の理解を、重要史料の邦訳を通じて深化させた。
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