研究課題/領域番号 |
20K01373
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
星 明男 学習院大学, 国際社会科学部, 准教授 (10334294)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 複数議決権株式 / サンセット / 資本規制 / 分配規制 |
研究実績の概要 |
本年度の主な研究実績は、複数議決権株式発行会社の株式上場制度についての検討と株式会社の資本維持・配当規制についての(特にEU諸国の規制との間での)比較・検討である。 前者については、2008年から東京証券取引所が導入している複数議決権株式についての上場制度および日本の会社法に内在する諸々の制限が、国内の会社が複数議決権株式を利用して上場を果たすことに対して極めて制約的に働いていることを、アメリカ・香港・シンガポールの同等の制度との比較を通じて論じ、複数議決権株式を用いた上場に対する制限を強化すべきという議論に対するアンチテーゼを示した。その内容は、「Safeguards against the Dual-Class Share Structure: Why Are Dual-Class Firms So Rare in Japan?」と題するワーキング・ペーパーにまとめ、2021年9月に開催された18th ASLI Conference(コロナ禍のためオンライン開催)にて発表した。 後者については、European Law Institute (ELI)の主催するプロジェクトの1つである「Corporate Sustainability, Financial Accounting and Share Capital」の一環として、日本の株式会社の資本規制および分配規制(特に連結配当規制)に関する調査報告書を執筆した。同報告書は、2022年中に公表される予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルスによるパンデミックの影響で、参加を予定していた学会等が延期・中止・オンライン開催になるなど、研究計画に狂いが生じた。また、研究代表者は、2020年9月から2021年8月まで英国にて在外研究を行ったが、新型コロナウイルス感染拡大防止のための英国政府の方針等(滞在中2回の全国的なロックダウンを含む)により、受入先であるケンブリッジ大学での設備利用・研究活動に大幅な制約が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
複数議決権株式発行会社の上場制度については、「Safeguards against the Dual-Class Share Structure: Why Are Dual-Class Firms So Rare in Japan?」を改訂し、英文査読誌に投稿する。株式会社の資本維持・配当規制についての比較法的分析については、海外の出版社から刊行予定の書籍の1章として成果をまとめることを検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスによるパンデミックの影響で、参加を予定していた学会等が延期・中止・オンライン開催になることにより、旅費の使用がなくなった。次年度使用額は、延期になった学会等への参加のために使用する予定であるが、本報告書提出日現在、パンデミックが終息していないため、具体的な使用予定の見通しは立っていない。
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