研究課題/領域番号 |
20K01373
|
研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
星 明男 学習院大学, 国際社会科学部, 准教授 (10334294)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 資本規制 / 分配規制 / ポイズン・ピル / 株主アクティビズム |
研究実績の概要 |
本年度の主な研究実績は、株式会社の資本維持・配当規制についての(特にEU諸国の規制との間での)比較・検討と上場会社のアクティビスト対抗策に関する司法審査のあり方の検討である。 前者については、European Law Institute (ELI)の主催するプロジェクトの1つである「Corporate Sustainability, Financial Accounting and Share Capital」の一環として、2022年4月22日に開催されたウェビナーでの報告を行った。また、2023年1月にプロジェクト全体の報告書である「Guidance on Company Capital and Financial Accounting for Corporate Sustainability」がELIのウェブサイトに公表された。 後者については、近年のアメリカにおいて、ポイズン・ピルがアクティビスト対抗策として利用されている実態を調査し、その有効性が争われた裁判例を検討した。その研究成果は、「買収防衛策のアクティビスト対抗策への変容とその司法審査」と題する論文にまとめ、2023年春頃に有斐閣から公刊予定の記念論文集に寄稿した。また、この研究に関連して、大阪高決令和4年7月21日資料版商事法務461号153頁・大阪地決令和4年7月1日資料版商事法務461号162頁の判例評釈を資料版商事法務462号に寄稿した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度から2021年度にかけて、新型コロナウイルスによるパンデミックの影響で生じた研究計画の遅延は、2022年度の春期休業中にドイツのイェーナで短期在外研究を行うことである程度挽回した。2023年度は、所属研究機関の業務体制もほぼコロナ禍前の状態に戻ったため、遅延を挽回できる見込みである。
|
今後の研究の推進方策 |
上場直前の非公開会社株式の価値評価と関連して、アメリカで行われている節税効果を有する株式公開手法(「Up-C」と呼ばれる)の研究を進める。研究成果は、2024年夏頃に公刊予定の記念論文集に寄稿する予定である。 また、現行制度下の裁判官による非公開株式の評価に代替し得る非上場株式の価格決定制度の検討を継続する。2024年度の国際学会で報告することを目標に定める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2020年度から2021年度にかけて、新型コロナウイルスのパンデミックによって生じた使用計画の狂いを引きずっている。2022年度は海外渡航の制約が大きく緩和されたため、コンファレンスへの参加や短期在外研究によってある程度研究計画を挽回した。2023年度は、残額の予算を研究資料の購入と海外のコンファレンスへの参加費用として使用する予定である。
|
備考 |
株式会社の資本規制に関するEuropean Law Institute (ELI)の研究プロジェクトにメンバーとして参加し、「ELI Guidance on Company Capital and Financial Accounting for Corporate Sustainablity」と題する報告書を公表した。
|