研究課題/領域番号 |
20K01383
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
川角 由和 龍谷大学, 法学部, 教授 (80204725)
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研究分担者 |
中田 邦博 龍谷大学, 法学部, 教授 (00222414)
若林 三奈 龍谷大学, 法学部, 教授 (00309048)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 民法 / ヨーロッパ私法 / 契約法 / 不法行為法 / ドイツ法 / 私法の現代化 |
研究実績の概要 |
本研究作業は、次の二つの方向で行われている。一つは、ヨーロッパ私法に関するものである。それはヨーロッパ域内市場をめぐる動きとしてEU法の現代化現象を分析している。とりわけのデジタル社会への対応が重要なものとなっている。そうした動きを分析する研究会を、他の研究グループとも連携し、定期的に開催することができた。 とくに、私法の現代化の問題については、デジタル経済の展開を踏まえて、デジタル契約の問題やプラットフォーム取引にも踏み込んで検討を進めている。それらは、約款規制のあり方、消費者契約法や特商法の改正にも影響を与えることになろう。また、ヨーロッパ契約法の動向については、とりわけ2016年フランス民法改正等も重要な動きであり、それらに触発されたの各国の民法改正や実務での展開の分析を行っている。こうした動きを全体として把握するため、『ヨーロッパ契約法[第2版]』の翻訳作業の仕上げとそれにもとづく分析を行った。これの作業については、2022年度の刊行を予定している。研究作業として、ドイツ契約法改正やヨーロッパレベルでの製造物責任の改正の動きに関する作業や、EU法の規制提案であるデジタルサービス法パッケージの展開にも注目する必要がある。ドイツ法の分析としては、イェーリング著『ローマ私法における帰責要素』の翻訳作業を継続している。 もう一つは、外国法に影響されて法形成をしてきた日本法の発展の内在的な分析に関するものである。末弘法学の分析は日本私法の歴史的な展開をたどりその課題を析出するための作業として行われ、その成果を書籍として刊行した。 さらに、本研究作業の中で、分担研究者が執筆した『概説 国際物品売買条約』(法律文化社)の中国語への翻訳作業に協力し、中国での刊行を支援した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍の中、外国での研究会への出張や外国での調査・文献の収集などについては困難が生じているが、ズーム等を利用した形でシンポジウムに参加し、また研究会を開催することができた。そうした情報収集については当初の目的は達成しており、昨年度から継続している研究作業は進行させており、その成果も公表することができている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、昨年度実施することができなかった外国出張および国内出張を行うことを計画している。進捗状況についてコミュニケーションをとり、また研究活動を活性化するために、研究会や打合せの会議を定期的に開催する。ズーム等での研究会の開催が常態化していることから、その運営に支障がないように適切な電子機器を購入する。関連する書籍・雑誌等の購入も継続して行う。学会での発表などの活動にも参加し、成果を公表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響によって予定されていた国内外の出張、また外国人研究者の招聘を行うことができなかったことによる。なお、差額については次年度において繰り延べした研究活動に支出することを予定しており、またズーム等の遠隔会議を円滑に行うために必要な電子機器を購入すること等に積極的に利用し、計画された研究作業を推進することに努める。
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