現行の夫婦財産制では、婚姻共同生活の経済的側面は、日常的な夫婦間の現実的な協力を通じて支えられているが、このような協力関係を安定的に維持する、あるいは協力関係を法的に評価する規定が不足している。家族形態の多様化という社会状況の変化が夫婦財産制、基礎的財産制に与える影響、法改正に向けて検討すべき事項を明らかにすることができた。欧州諸国での基礎的財産制の歴史的な意義やその役割、さらに同制度を今後どのように位置づけようとしているのかを解明するとともに、欧州諸国の法制度の分析・検討から、基礎的財産制を含めた夫婦財産制の抜本的な改正が喫緊の課題とされている日本の議論に示唆を得ることができると考えている。
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