成年後見人の身上監護における職務範囲を探ると共に、後見制度の利用者がメリットを実感できる制度の実現に向けて家庭裁判所による「許可制度」の発展可能性について検討を行った。2023年施行のドイツ世話法改正法に関して、特に被世話人の生命、身体、健康、自由侵害が生じうる医的措置(BGB1829条)、自由の剥奪を伴う収容措置(BGB1831条)や医的強制措置(BGB1832条)について分析を行った結果、世話裁判所が世話人の同意について許可を付与することによって世話人への監督機能を有するのみならず、世話人や裁判所がいわばチームとして被世話人の意思を尊重し、またその責任を負うという側面もあると考えた。
|