研究課題/領域番号 |
20K01399
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
森山 浩江 大阪公立大学, 大学院法学研究科, 教授 (60278504)
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研究分担者 |
坂口 甲 大阪公立大学, 大学院法学研究科, 准教授 (20508402)
藤井 徳展 大阪公立大学, 大学院法学研究科, 准教授 (40381975)
杉本 好央 大阪公立大学, 大学院法学研究科, 教授 (80347260)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 遺産共有 / 遺産分割 / 預貯金債権の相続 / 可分債権の相続 / 共同債権者関係 / 債権の準共有 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、預貯金債権を遺産分割の対象とした最高裁大法廷平成28年12月19日決定に関し、相続法・担保法・契約法の各アプローチから、より深い基礎的研究の必要性が明らかになった遺産共有概念について追究しつつ、他の関連問題にも広く資することができるよう、分析および解決の指針の基点を整理して明らかにすることである。 最終年度においては、それぞれの観点から行ってきた基礎研究により、このテーマに関する根源的な問題点を明らかにし、それをもとに総合的な検討を行うことが中心となった。初年度において相続および銀行における実務の観点からそれぞれ行った研究報告、また、契約の終了の規律に関する比較法的研究について、今年度においてはそれぞれをさらに深める形で、その一部につき報告・公表を行うに至った。内部では、各研究をふまえた議論とともに、今後の研究のまとめ方や新たな課題について検討を継続してきた。 研究期間全体を通じて、相続法分野については、この問題の前提にある、可分債権・可分債務の相続およびこれに関して遺産分割実務において採られている遺産共有に関する諸前提の問題の根深さが明らかになった。これらの諸前提は、学説による批判にかかわらず今日の実務では当然視されているが、以前はそもそも実務の現場においてこそ問題視されていた。より根本的には、遺産分割の審判事項としての限界性も念頭においた検討が求められる。債権法の観点においては、比較法的に上記大法廷決定をとらえてみると、債権の個数や債権の準共有等の帰属形態からのみ議論するのではなく、債権者の複数性に伴う債権内容の制約のされ方という観点からのアプローチをより具体的に深めることが有用であるとの知見が得られており、預貯金債権を含めつつもより広い視野に立つ基礎的な視点が得られた。以上については今後、令和3年改正後民法における遺産共有との関係も検討課題となる。
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