研究課題/領域番号 |
20K01404
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
宮下 修一 中央大学, 法務研究科, 教授 (80377712)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 制限行為能力者 / 支援 / 成年年齢引下げ / 成年後見 / 障害者・高齢者保護 |
研究実績の概要 |
本年は、医療・福祉・介護の現場の状況について国内調査を実施して問題点を整理したうえで、韓国の消費者行政について現地調査を実施して研究者・実務家と意見交換を行う予定であったが、コロナ禍で国内外の移動が大きく制約されたことや医療・福祉・介護のいずれも現場もコロナ禍関連の対応に追われる中で、いずれも実現できなかった。そのため、公表されている文献等をもとにして、現状の問題点の把握・分析・整理することを中心として研究を進めざるを得なかった。 もっとも、6月には、オンライン形式で開催された韓国民事法学会の国際シンポジウムにおいて、制限行為能力者等の支援のあり方にも大きな影響を与えるデジタルデータの取扱いに関して報告を行った。その内容については、2020年9月に韓国民事法学会が発行した『民事法学』92号に掲載された。また、アジア経済研究所の研究会の成果として公表された書籍である『アジアの障害者の法的能力と成年後見制度』において、障害者権利条約をふまえて日本の成年後見制度のあり方を再検討する必要性を説くコラムを公表した。さらに、2016・2018年に改正された消費者契約法のうち、総則・契約取消権に関する部分の改正の問題点を分析・整理したうえで、現在、消費者庁において進められている新たな改正の動きもふまえつつ、制限行為能力者等も含まれる消費者・高齢者の支援という観点から、同法の今後の改正の方向性を示唆する論考も執筆し、所属する中央大学が発行する『中央ロー・ジャーナル』17巻4号において公表した。 コロナ禍でさまざまな活動が制約される中で研究活動も大きな制約を受けることになったが、上記のような状況をふまえると、現段階でも一定の成果が得られたものと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
すでに研究実績の概要でも述べたように、コロナ禍により国内外の調査を断念せざるを得ず、予定していた研究計画を十分に遂行できなかった。もっとも、これも研究計画の概要で述べたように、オンラインで開催された韓国民事法学会での報告や論考の公表等、現段階で可能な範囲での成果公表を行ったことから、「やや遅れている」という評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、可能な限り国内外の調査を進めるつもりであるが、依然としてコロナ禍が続く中で活動が大きく制約されることが想定される。 あくまで感染状況を見ながらではあるが、まずは国内での実地調査を進めるとともに、比較対象国である韓国・台湾についても情報収集を進めるようにしたい。また、得られた成果については学会発表や論文等の形で逐次公開するとともに、本来予定していた国内の法律・医療・福祉・介護の専門家を招聘した国内セミナーの開催へ向けた準備を進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により、予定していた国内調査及び海外調査が実施できなかったため、旅費や調査に必要な会議費等の費用の使用ができなかったのが、次年度使用額が生じた大きな理由である。 翌年度については、国内調査及び海外調査、またセミナーを実施する予定であるが、コロナ禍により、対面での実施は依然として厳しい状況が続くことが予想される。その場合でも、謝金を使用し国内外から講師を招聘してセミナー等をオンラインで実施するなど、研究実施方法を工夫して助成金を使用する予定である。
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