研究課題/領域番号 |
20K01404
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
宮下 修一 中央大学, 法務研究科, 教授 (80377712)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 制限行為能力者 / 支援 / 成年年齢引下げ / 成年後見 / 障害者・高齢者保護 |
研究実績の概要 |
本年度は、まず、前年度実現できなかった医療・福祉・介護の現場の状況に関する国内調査及び韓国の消費者立法・行政に関する現地調査を実施したうえで、本来予定していた台湾の消費者立法・行政に関する現地調査を実施することを目指していたが、前年に引き続き、コロナ禍で国内外の移動が大きく制約されたことや医療・福祉・介護のいずれも現場もコロナ禍関連の対応に追われる中で、いずれも実現できなかった。そのため、前年度と同様に、公表されている文献等をもとにして、現状の問題点の把握・分析・整理しながら研究を進めざるを得なかった。 もっとも、本研究の前提となる民法や消費者法に関する研究成果については、例えば、本研究の方向性にも大きな影響を与えることになった2017年民法改正と従来の判例のあり方を検証する著書『債権法判例と改正の行方』を編者の一人としてとりまとめて公表するなど、著書・論文等の形で一定程度公表することができた。また、本研究課題に直接関係する著書や論文等についても、次年度に公刊される予定ではあるものの、複数執筆を進めることができた。特に、本研究の観点をふまえて、2021年に行われた消費者契約法改正の問題点を検証する論文等の執筆を進めているところである。 コロナ禍でさまざまな活動が制約される中で研究活動も大きな制約を受けることになったが、上記のような状況をふまえると、現段階でも一定の成果が得られたものと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
すでに研究実績の概要でも述べたように、コロナ禍により国内外の調査を断念せざるを得ず、予定していた研究計画を十分に遂行できなかった。もっとも、これも研究計画の概要で述べたように、本研究の前提となる著書・論文の公表を行うとともに、本研究課題に直接関係する著書や論文等についても公表へ向けた作業を進めることができたことから、「やや遅れている」という評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、コロナ禍が終息に向かいつつある状況をふまえて可能な限り国内外の調査を進めるつもりであるが、依然としてコロナ禍が続く中で活動が大きく制約されることが想定される。あくまで感染状況を見ながらではあるが、引き続き国内での実地調査を進めるとともに、比較対象国である韓国・台湾についても情報収集を進めるようにしたい。 また、得られた成果については学会等での発表や論文等の形で逐次公開するとともに、本年度は実施できなかった国内の法律・医療・福祉・介護の専門家を招聘した国内セミナー及び本来は本年度実施を予定している国外の専門家を招聘した国際セミナー(あるいは双方を統合する形での国際セミナー)の開催実現へ向けた準備を進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により、予定していた国内調査及び海外調査が実施できなかったため、旅費や調査に必要な会議費等の費用の使用ができなかったのが、次年度使用額が生じた大きな理由である。 翌年度については、国内調査及び海外調査、また国内セミナー及び国際セミナー(あるいは双方を統合する形での国際セミナー)を実施する予定であるが、コロナ禍により、対面での実施は依然として厳しい状況が続くことが予想される。その場合でも、謝金を使用し国内外から講師を招聘してセミナー等をオンラインで実施するなど、研究実施方法を工夫して助成金を使用する予定である。
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