研究課題/領域番号 |
20K01406
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研究機関 | 桐蔭横浜大学 |
研究代表者 |
青木 仁美 桐蔭横浜大学, 法学部, 講師 (80612291)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 成年後見法 / 意思決定支援 / 障害者権利条約 / カナダ / サスカチュワン州 |
研究実績の概要 |
本研究は、カナダにおける障害者権利条約への対応、成年後見制度および意思決定支援制度の解明を目的とするものである。2021年度は、カナダの州の中で先進的な意思決定制度を有するとされるサスカチュワン州に焦点を当てた。サスカチュワン州は、成年後見法の中に、共同決定者を任命するという意思決定制度を規定している。同制度を検討する前提として、まずカナダの成年後見制度に関する歴史およびカナダの各州が有する成年後見に関連する制度の概観を検討した。その後、サスカチュワン州における意思決定支援を現行の成年後見法と判例を中心に検討した。ここから、カナダでは、障害者権利条約の批准前である1990年代終わり頃から意思決定支援が重視され、その後すべての州ではないが、意思決定制度を法制度として設ける州が出現し、成年後見制度の利用が最終手段として認識されていることが明らかになった。これを論文としてまとめ、「カナダにおける成年後見制度と意思決定支援の発展ーサスカチュワン州法を中心にー」として桐蔭法学28巻1号(2021年9月)に公表した。 また、オーストリアの一般民法典の改正(2018年施行)に関する発表を、「欠格条項研究会」にて行った(2022年2月)。当該発表は、障害者権利条約の批准を受けた法改正を内容としており、拙稿「「代理から援助へ―オーストリアの法改正からの一考察―(1)」「同(2・完)」(桐蔭法学26巻1号および2号)に基づいている。同発表においては、本人の意思を反映させた成年者保護制度において、監督機能をいかに充実させていくかという今後の課題を見出すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カナダの後見制度の歴史、各州における成年後見法の概観、および障害者権利条約批准前に規定されたサスカチュワン州の意思決定支援を検討することによって、カナダにおける障害者権利条約の対応および現行の意思決定支援制度を検討する基盤を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、カナダにおいて公表されている障害者権利条約への対応に関する資料を中心に、意思決定支援の発展過程、意思決定支援の具体的内容および今後の成年後見制度のあり方の検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染拡大の影響により、旅費を使用することができなくなった。今後は、書籍およびデータベース等の購入、オンラインによる学会への参加に支出する予定である。
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