研究課題/領域番号 |
20K01407
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
出口 雅久 立命館大学, 法学部, 教授 (70237022)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 強制執行法 / 動産執行 / 財産開示 / 比例性原則 / 司法補助官 / EU口座保全差押手続規則 / 執行官 / 債権執行 |
研究実績の概要 |
本研究では、2021年4月にアジア・ラテンアメリカにおける強制執行法研究会において南米諸国の強制執行法の特徴についてProf. Dr. Alvaro Perez Ragone(アルゼンチン)とオンライン報告会を開催した。同研究会は、その後、5月にProf. Dr. CAO Zhixun (中国)が中国における強制執行法と債務者資産の確保に関するオンライン報告会を開催した。 さらに、ルクセンブルク・マックスプランク訴訟法研究所における比較民事訴訟法プロジェクトのSegment 14. Enforcement Lawの国際共同研究のメンバーとも定期的にオンライン研究会を開催し、各国の強制執行法の動向について意見交換会を開催した。 2021年6月から憲法上の保障された債権者の効果的な権利保護を実現するための諸方策について国際訴訟法学会のメンバーを招聘して開催した国際コロキウムにおける国別報告書の編集作業を開始して、2022年1月にMasahisa Deguchi Editor, "Effective Enforcement of Creditor's Rights" p.1-281としてSpringer社より出版することができた。さらに、日本の民事執行法に関する英文報告書のドラフト作成を開始した。 2021年9月には、Prof. Dr. Dr. Dres c. h. Hans Pruettingによる民事訴訟のデジタル化に関するオンライン研究会を開催した。 2021年12月には、Prof. Dr. Dr. h.c Peter Gottwaldによる比較訴訟法学に関するオンライン研究会を開催し、比較強制執行研究のための基礎理論について国際共同研究者との認識を共有することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年に始まったコロナ・パンデミック感染拡大により、本来予定していた欧州での調査研究会などが2021年も全く開催することができない状況下にあり、上記の研究実績の概要に記述した通り、これまでに構築してきた国際学術ネットワークを駆使して、オンライン国際シンポやセミナーなどによる極めて限られた範囲での研究交流を通して情報収集活動を展開せざるを得ないために、本研究費について次年度繰越金が発生しており、当初計画した海外調査は殆どできていないため、正直言って、本研究の進捗状況はやや遅れていると言わざるを得ない。残念ながら2022年においても当分は似たような状況が継続すると思われるため、欧州、アジア、ラテンアメリカにおける国際共同研究会のメンバーと協議して、引き続きオンライン報告会を利用しながら、研究会を継続することで情報収集に努めたいと考えている。しかしながら、その際、ロシアのウクライナ侵攻という予想外の政治外交的な問題が浮上しており、欧州への渡航自体がかなり制限されることも今後は研究計画に考慮すべき点であり、今後の情勢を見極めたうえで本研究会の研究計画についても再度見直しを図る必要性があると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年2月にルクセンブルク・マックスプランク訴訟法研究所Prof. Dr. Dr. h.c. Burkhard Hessおよびライデン大学法学部Prof. Dr. Bart Kransの学術協力を得ながら欧州連合におけるEU口座保全差押制度に関する文献資料の分析も継続して進めていく。さらには、アジア、欧州、ラテンアメリカの国際共同研究者と研究協力体制をより強化し、オンラインによる国際学術研究制度を高度化するために繰越した研究費をオンライン会議担当者の雇用、研究事務局アルバイト、文献資料の分析作業などに配分することでこれまでの研究作業の遅れを少しでもカバーできるように努力する所存である。
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次年度使用額が生じた理由 |
これまで二年間は、国内外の出張や国内外の研究者の招聘がコロナ・パンデミックのため開催できなかったために使用計画を下記の通り変更する予定である。 2022年6月、8月、10月、12月にルクセンブルク・マックス・プランク訴訟法研究所CPLJプロジェクトチームとのオンライン準備研究会を定期的に開催し、国際共同研究者から研究の進捗状況について報告してもらう予定である。2022年7月、9月、11月には定期的にアジア・ラテンアメリカ強制執行法研究会メンバーとオンライン研究会を開催し、とりわけ、ラテンアメリカに付ける財産開示や執行官について報告してもらう予定である。 2022年8月か9月に欧州の各共同研究者(イタリア、オーストリア、イギリス、フランス等)を訪問してこれまでの研究成果について協議する。2023年3月にはルクセンブルク・マックス・プランク訴訟法研究所で開催されるCPLJ会議に参加し、これまでの研究成果について報告する予定である。
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備考 |
ルクセンブルク・マックスプランク訴訟法研究所「比較民事訴訟プロジェクト」とのSegment 14. Enforcement Lawの国際共同研究グループです。
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