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2020 年度 実施状況報告書

公的文書の管理・保存におけるアーキビストとジェネラリストの役割に関する比較研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K01421
研究機関大阪大学

研究代表者

高橋 明男  大阪大学, 法学研究科, 教授 (60206787)

研究分担者 菅 真城  大阪大学, アーカイブズ, 教授 (30346465)
安田 理恵  名古屋大学, アジアサテライトキャンパス学院(法), 特任講師 (60742418)
折登 美紀  福岡大学, 法学部, 教授 (80248286)
佐藤 英世  東北学院大学, 法学部, 教授 (90205899)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードアーキビスト / 専門職 / ジェネラリスト / アーカイブズ / 公務員
研究実績の概要

初年度として、ドイツ、アメリカにおけるアーキビスト制度に関する調査研究、日本の大学及び地方公共団体における専門職の配置に関する調査研究を行う予定であったが、基本的に、アーカイブズとアーキビスト、公文書管理に関する文献収集・調査と基礎的分析の段階にとどまった。
その中で、アーキビストの資格を安定的に発展させるためには、新しい生活様式や働き方改革が提唱され、ジョブ型とメンバーシップ型の対比が問題になってきたことから、ジェネラリスト型の職の仕組みにおけるアーキビストという専門職の位置づけと公文書の管理保存におけるその役割を比較制度的に分析する必要性が高まっていることを確認した。また、調査対象国であるアメリカ、ドイツ、韓国、日本において「アーカイブのデジタル化」が重要な論点となっていることを踏まえて、法令情報のデジタル化を行っている情報学・情報工学の研究者との意見交換を進めた(研究分担者)。さらに、ドイツにおける資格と職業の関係性を把握するために、職業訓練法及び職業能力継続促進法の研究を進め、資格を要する職業の政令による指定、連邦教育研究省が所管する職業教育訓練機関による教育提供機関の認証と審査、資格が付与される修了試験の実施の仕組みを分析した(研究分担者)。
日本におけるアーキビスト制度が国立公文書館による認証アーキビスト制度の令和2年度からの開始により大きく展開したことを踏まえて、認証要件に合致する大学の専門課程のあり方を研究代表者と研究分担者が共同して分析した。その結果、大阪大学における大学院横断的な「アーキビスト養成・アーカイブズ学研究コース」の創設と国立公文書館に対する専門課程としての認定申請に結びつけられたこと、同コースの導入書として、アーキビスト養成課程で学ぶべき基本的な事項を解説した書籍を刊行したことは、成果としてあげることができる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウィルス感染症に影響を受け、移動制限のために出張を伴う調査に支障が生じたこと、メンバーがいわゆるウィズコロナの教育形態や会議形態への準備・対応に時間をとられたことが原因としてあげられる。
研究の基礎的な分析として、研究代表者と研究分担者が共同して、国立公文書館による認証アーキビストの認証要件としての大学の専門課程のあり方を実践的に分析できたことは、日本におけるアーキビスト・アーカイブズの現状分析として役立ち、2年度以降の計画を進める上で有意義なものとなった。

今後の研究の推進方策

ドイツについては、研究代表者がアーカイブズ法と専門職としてのアーキビスト制度の展開過程を文献調査により分析すると共に、研究分担者が関係機関に対するメール・オンラインによる調査と文献調査により、アーキビスト養成の具体的な仕組み(養成教育機関とその教育内容・プログラム、教育担当教員の専門性と担当科目、教員資格審査、養成機関の認証に関わる審査機関及び審査項目、公文書管理に要求される専門性、法学教育とアーキビスト養成との接合可能性等)を分析する。
アメリカ及び韓国については、研究分担者が、可能であれば渡航調査、不可能であれば文献調査及びオンライン調査により、公文書管理、特にデジタル化に焦点を当てた分析を行い、そこにおけるアーキビストの専門職としての確立過程、資格要件、実務上の問題点の調査・分析を行う。
また、研究分担者が、経済学の概念である社会的共通資本を用いて、専門職としてのアーキビストを検討する。この成果は記録管理学会2021年研究大会において「社会的共通資本としてのアーカイブズ・記録管理-専門職問題を中心に-」という口頭発表を行い、公表する予定である。さらに、「大学におけるMLA連携の可能性」の公表及び私立大学アーキビストに関する資料収集・調査・分析を進める。
地方公共団体等については、研究分担者が公文書館の整備状況と専門職としてのアーキビストの配置状況と役割を分析する。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウィルス感染症の影響を受けて、出張を伴う調査研究を行うことができなかったことが理由である。2年目は、新型コロナウィルス感染症の影響があり得ることを考慮して前年度未使用額を含めた支出計画を立てる。具体的には、調査対象国における現地調査(文献資料収集、ヒアリング、意見交換等)を行うことを予定するが、調査が不可能であった場合は、それに代えて、アーカイブズ及びアーキビスト制度に関する関係書籍の購入、オンライン(メールまたは同時双方向通信)による関係機関に対するヒアリング、意見交換等により、必要な情報の収集を図ることを予定している。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 大学アーキビストが行う研究について考える2021

    • 著者名/発表者名
      菅真城
    • 雑誌名

      広島大学文書館紀要

      巻: 22 ページ: 93-101

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 大学におけるMLA連携の可能性-大阪大学の事例を中心にー2020

    • 著者名/発表者名
      菅真城
    • 学会等名
      南山アーカイブズ講演会
    • 招待講演
  • [図書] アーカイブズとアーキビスト 記録を守り伝える担い手たち2021

    • 著者名/発表者名
      菅真城 高橋明男 三阪佳弘 矢切努 三輪宗弘 飯塚一幸 廣田誠 古賀崇
    • 総ページ数
      225
    • 出版者
      大阪大学出版会
    • ISBN
      978-4-87259-644-1

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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