研究課題/領域番号 |
20K01422
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
青木 大也 大阪大学, 法学研究科, 准教授 (80507799)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 知的財産法 |
研究実績の概要 |
デザインの重要性が叫ばれる中、デザインを主な規律対象とする意匠法は、近時の改正を経て、その保護を強化しつつある。一方で、そのような動きに対応して、多様な行為が意匠権侵害の懸念を内在するようになり、それを意匠権侵害とするべきか、またその救済が差止請求等の強力な権利によるべきかといった点が検討されなければならない。本研究は、我が国の意匠法を対象に、我が国の他の知的財産法や、あるいは諸外国の意匠制度との対比において、第三者の自由を確保するための措置をどのように形作っていくべきかを検討するものである。 今年度は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により,主に移動を伴う研究活動に支障が出たが,文献調査やオンラインでの議論等を素材として,研究を進めた。 具体的には,例えば,①令和元年意匠法改正によって強化された意匠保護をめぐって,それがデザインの隆盛にどのように資することができるのか,同時にどのような懸念を共有すべきかを,法学のみならず経営学やマーケティング学の研究者と共同して検討した結果を共著論文として公表し,また②意匠法特有の制度である秘密意匠制度に関連して,その権利行使に注目し,公示されていない意匠権による権利行使は,第三者の活動の自由に大きな影響を与えることから,現行のルールについて疑問を提示する単著論文を公表した。 そのほか,意匠登録の可能な範囲を検証するため,意匠の登録要件の一つである創作非容易性の検討を行うなど,補足的な研究も進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により,主に移動を伴う研究活動に支障が出た。具体的には,研究会の中止や,資料収集のための移動の延期等である。しかし,文献調査やオンラインでの議論等を素材とすることで,研究成果の公表まで結びつけることができたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,意匠権の間接侵害などの侵害類型なども視野に,権利行使の局面を中心に,研究を進めていくこととする。 なお,次年度以降も,新型コロナウイルス感染症の影響によっては,外国出張を始めとして研究活動が制限されるおそれはあるが,オンラインへの切り替え等により,対応していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響で,出張予定につき,オンラインでの対応に変更されたりや延期されたりといった事情により,出張に係る費用が大幅に未使用となった。また同じくコロナ禍の影響か,研究に関連する書籍の出版が後ろ倒しになる等の事情も見受けられた。 今後の予算執行については,いずれも新型コロナウイルス感染症の広がりの状況を見つつではあるが,仮にオンラインでの対応が更に必要とされるようであれば機材等の整備に使用し,また書籍については発行され次第購入する予定である。
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