研究課題/領域番号 |
20K01428
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
小澤 久仁男 日本大学, 法学部, 教授 (30584312)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ドイツ行政訴訟制度の歴史的展開 |
研究実績の概要 |
2020年度は、コロナ・ウィルス問題もあって、当初予定をしていた本研究へのエフォートおよび研究計画を大幅に変更せざるを得ない事態が生じた。 そのような中、本研究は、ドイツ行政上の権利保護の歴史的展開を探ることを目的とするものであり、2020年度においては、従来までのドイツ行政訴訟制度の発展過程のうち、1863年のドイツ行政裁判所設置以前の議論動向について探ることが当初予定していた研究計画であった。これによって、今日のドイツの行政訴訟制度およびそこでの議論の原点・基盤について知見を得ることで、本研究を遂行したいと考えていた。その結果、上記の通り、大幅な制約があったものの、当初の計画に基づいて、文献の収集を行い、それらの精読に努めた。その上で、行政訴訟の主たる目的が個人的権利保護とするのか、それとも客観的権利保護とするのかということについて大きく争われた「ベール=グナイスト論争」を本研究の歴史的展開の起点とすることで、2021年度に続く本研究の視点の確立に努めた。 他方で、2020年度においては、仮の権利救済の研究を行う機会も得た。これは、本研究の直接的なテーマではないものの、その研究を行うにあたっては、仮の権利救済の歴史的展開に関する文献についても接する機会もあった。それゆえ、行政訴訟制度の歴史的展開を考察する本研究にとっては、その研究視点をより精緻化していく過程の中で、大きく寄与するものであったと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「研究実績の概要」でも示した通り、2020年度は、コロナ・ウィルス問題もあって、当初予定をしていた本研究へのエフォートを大幅に変更した。その結果、メディアなどで周知されている通り、所属大学におけるオンライン授業の準備などに時間を費やすことになり、本研究に必要な時間を充てることができなかった。もっとも、関連文献の収集や、収集された文献の精読も若干ながら行った。 それゆえ、現在までの進捗状況としては「やや遅れている」と評価を行うに至った。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度においては、本来であれば、1863年のドイツ行政裁判所設置後における原告適格の動向をワイマール期、ナチス期、そして戦後の西ドイツ期といった時代区分に基づいて探るということが、研究計画であった。 もっとも、上記の通り、2020年度研究がやや遅れているということから、2021年度においては、2020年度に行うはずであったドイツ行政訴訟制度の発展過程の整理を継続して行うことにする。これによって、上記ドイツ行政裁判所設置後の原告適格の動向を探る視点をより強固なものにしていきたいと考えている。これによって、当初の予定に少しでも接近できるように努めていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度においては、コロナ・ウィルス問題もあって本来予定していた研究計画の遂行および、本研究にとって必要な海外調査などを行うことができなかった。 そのため、2021年度においては、コロナ・ウィルス問題の状況を踏まえつつ、海外調査などを行うことができれば、それに予算を割り当てる予定である。また、2021年度においては従来通り、研究にエフォートを充てることができるものと想定しているため、必要な文献の購入を行っていきたいと考えている。
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