研究課題/領域番号 |
20K01428
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
小澤 久仁男 日本大学, 法学部, 教授 (30584312)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 帝国裁判所 / 帝国宮廷顧問会議 / 社会的紛争の法現象化 |
研究実績の概要 |
2021年度においても、前年度に引き続き、当初予定をしていた本研究へのエフォートおよび研究計画を変更せざるを得ない事態が生じた。 そのような中、本研究は「ベール=グナイスト論争」を起点に、それがその後のドイツの原告適格論や環境団体訴訟論に影響があったのかどうか、そして影響があったのであればどのような影響を与えたのか、ということを最終的な研究目標としている。そして、上記の「ベール=グナイスト論争」を考察する前段階として、2021年度においては、神聖ローマ帝国における2つの最高裁判所について研究を行った。すなわち、当時のドイツにおいては、帝国裁判所(Reichskammergericht)と帝国宮廷顧問会議(Reichshofrat)が設置されており、これらが社会的紛争の法現象化(Verrechtluchung der sozialer Konflikteso)に寄与したことが指摘されている。そして、これらについて、ベールとグナイストも、高く評価したことが伝わっている。それゆえ、ベールとグナイストのその後の論争を取り上げるにあたり、神聖ローマ帝国における2つの最高裁判所がそれぞれどのような制度設計がなされていたのかを探ることが不可欠であると考えた。この研究成果については、2022年度中あるいは2023年度初めに公表する予定である。 その他、2021年度においては、判例回顧を行う機会や、住民訴訟において求償権の行使を怠った事例の研究を行う機会も得た。これらについては、本研究の直接的なテーマではないものの、その研究を行うにあたっては、上記の社会的紛争の法現象化といった視点を養い、本研究の視点の具体化に貢献するものであったと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度においても、前年度に引き続き、コロナ・ウィルス問題もあって、所属大学におけるオンライン授業の準備などに時間を費やすことになり、本研究に必要な時間を充てることができないこともあった。もっとも、そのような中で、研究実績の覧でも取り上げた通り、本研究遂行にとって関連性の深いテーマの研究成果を公表するための準備を若干ながら行うことができた。 それゆえ、現在までの進捗状況としては「やや遅れている」と評価を行うに至った。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度においては、上記の2021年度研究の公表のための作業を行うことが主たるものとなる。この研究を行うことによって、本研究の着眼点である「ベール=グナイスト論争」を取り上げる土台として位置付けることができると考えている。 その上で、2022年度においては、原告適格論や環境団体訴訟論の視点から「ベール=グナイスト論争」について研究を行っていくことにしたい。これによって、本研究の最終目標に到達をしていきたいと考えている。 なお、本研究は、当初3年間の研究期間であった中、2020年度および2021年度がそれぞれ「やや遅れている」との自己評価を行った。そのため、本研究の最終目標を達成するために、研究期間の延長も視野に入れている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度においても、当初予定していた研究計画の遂行および、本研究にとって必要な海外調査などを行うことができなかっ た。 そのため、2022年度においては、コロナ・ウィルス問題の状況を踏まえつつ、海外調査などを行うことができれば、それに予算を割り当てる予定である。また、2022年度は本来、本研究の最終年度となるが、研究の進捗状況などを踏まえて、研究期間の延長を申請することも視野に入れている。
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