研究課題/領域番号 |
20K01430
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
今村 哲也 明治大学, 情報コミュニケーション学部, 専任教授 (70398931)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 地理的表示 / テロワール / 地域団体商標 / リスボン条約 / 地域ブランド |
研究実績の概要 |
本研究は、「地理的表示」の保護をめぐる法的課題について、①地理的表示法に内在する課題(内在的課題)、外在的課題として、②商標法その他の国内制度との交錯領域における法的課題(制度間分析)、及び③国際的な法規範との関係について検討を行い(比較法研究も含む)、地理的表示保護制度の体系的な理解を構築することを目的とした総合的研究である。 この研究目的を達成するため、本研究では、①地理的表示保護の理論構築、要件論・手続論の検討、②他の国内法制度との制度間分析、③国際的動向と各国法の比較法研究を行うことした。 2021年度は、予定していた海外調査はできなかったものの、国際的な動向の分析と各国地域・法制度をめぐる議論状況の比較研究について調査を進める一方で、研究成果を発表するための準備作業を行い、30万字程度の草稿が完成した。 具体的には、「地理的表示の理論と法的形式」を整理し、全体の議論の素描を試みた上で、地理的表示の法的保護の正当化根拠とともに、その法的形式を整理した。また、団体・証明商標による保護の概要を説明した上で、アメリカの制度について分析を試みた。また、スイ・ジェネリス型の保護についてはEUの制度を中心に詳細に分析を行った。加えて、「産地名の表示に関する国内制度」についても、不正競争防止法、商標法、地理的表示法、その他の行政規制の制度内容を分析するとともに、商標法と地理的表示法の保護の交錯領域にある諸問題について解釈論上の論点について分析を行った。「国際的保護をめぐる課題」として、TRIPS協定以前と以後に分けて、国際的保護をめぐる動向について整理と分析を行い、日本の地理的表示が国際的に適切に保護される上での問題点を考察した。 原稿が概ね整理できたため、出版助成を申請し採択されたので、成果の発表に向けて前進することになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、①地理的表示保護の理論構築、要件論・手続論の検討、②他の国内法制度との制度間分析、③国際的動向と各国法の比較法研究を行うことにしているが、この課題を大部分反映した研究書の執筆が順調に進んでいる。 しかし、当初予定していた各国法の比較法研究については、コロナ禍の渡航制限などの影響もあり、海外調査として、過去の地理的表示について意見交換を行った経緯のある各国の研究者との意見交換が思うように進まなかった。この点については2022年度以降に、関連する調査を行いたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、①地理的表示保護の理論構築、要件論・手続論の検討、②他の国内法制度との制度間分析は完了しつつある。そのため、③国際的動向と各国法の比較法研究を行うことも更に進めていく。そのためには、多国間条約の動向についてWIPOにおけるリスボン協定ジュネーブ改正に関する議論、WTOのTRIPS協定特別会合における議論の動向を議事録やシンポジウムへのオンライン参加などにより調査分析する。また、各国・地域の動向についても、政府機関の資料や研究論文、有識者との意見交換を通して把握し、日本の地理的表示の保護のあり方への示唆を獲得する。特に、コロナ禍の中で、各国の地理的表示をめぐる動向が変化を生じた可能性もあるため、イギリスやオーストラリアの研究者との交流を進めるなかで、問題点を探っていきたい。 新型コロナ禍の影響で、海外での動向を直接ヒアリングする機会を失っている。海外調査ができることが望ましいが、オンラインでの情報交換も用いて、当初の研究予定が可能な限り実現できるようにしていく。 最終年度までに、こうした比較法研究や解釈論に基づく理論研究の成果の公表に向けた作業を進めつつ、地理的表示保護制度の体系的な理解を構築することを目的とする総合研究を完成し、書籍および論文の形式で完成させることを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ禍による移動制限の影響で、研究を進めていく上での研究補助員を雇うことに支障が生じるとともに、出張による現地でのヒアリング等による資料収集ができなかった。この影響が改善されることも視野にいれつつ、他方で、研究補助員に関しては何らかの代替策も検討したり、また、文献収集によるデータ収集やヒアリングに変わる専門的知見の収集も進めるなどして、柔軟に対処しながら、当初の研究計画を実現する計画である。
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