研究課題/領域番号 |
20K01440
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
河村 有教 長崎大学, 多文化社会学部, 准教授 (30403215)
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研究分担者 |
森 正美 京都文教大学, 総合社会学部, 教授 (00298746)
石田 慎一郎 東京都立大学, 人文科学研究科, 准教授 (10506306)
高野 さやか 中央大学, 総合政策学部, 准教授 (20586656)
中空 萌 広島大学, 人間社会科学研究科(国), 講師 (60790706)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 国際法 / 国家法(国内法) / 公式法(official law) / 非公式法(unofficial law) / シャリア(Sharia) / 法と開発 |
研究実績の概要 |
今年度も、新型コロナウイルスの影響により、オンライン(ZOOM)での研究打ち合わせ、研究会の開催になった。4回の研究会を実施し、アジア・アフリカ諸国における法の支配の問題について議論した。第2回研究会(2021年6月4日)では、石田慎一郎氏(分担者)により、①ケニアにおける公式法(official law)と非公式法(unofficial law)について、②グシーやイゲンベを例にあげて、法律家のない社会における「呪術と法」との関係について、さらには③法の支配において、法という確実のものがあることを前提とするのか、「確実性を追求する法律学」と「不確実性の人類学」という対比概念を用いながら研究報告がなされた。第3回研究会(2021年9月24日)では、森正美氏(分担者)により、宗教規範と法規範の対立について、ムスリムの離婚問題においてシャリア(Sharia)という宗教規範と法規範の規範間のコンフリクトをどのように東南アジアの社会が解決しようとしているのか、研究報告がなされた。第4回研究会(2021年12月3日)では、高野さやか氏(分担者)により、法の支配への人類学的視点から、①法の支配の普遍性と固有性について、②法の支配と「アジア的価値(Asian Values)」をめぐる論争、そして「アジアにおける価値(Values in Asia)」へについて、さらに③様々な要素の接点としての「法整備支援(法と開発)」と実践における試行錯誤についての研究報告がなされた。第5回研究会(2022年3月7日)では、中空萌氏(分担者)により、「ガンジス川が法人になるとき―『自然の権利』と法の生成の民族誌」をテーマに研究報告がなされた。「サフラン化(ヒンドゥー化)」という還元主義的な説明を超えて、どのような主張があらわれ、対立し、翻訳されているのか人類学の視点から検討が加えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
定期的な研究会の開催による討議・意見交換を行いながら、研究代表者・分担者のそれぞれのフィールドにおける法の支配についての検証(問題を含む)を、実例をもとに進めている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、①公式法と非公式法との関係、②呪術と法との関係、③宗教規範と法規範との関係、④法の生成のプロセスと法の支配について、⑤法と開発(法整備支援)の実践と課題、⑥法学的視点及び人類学的視点から捉える法(法の普遍性と固有性)と法の支配の問題(法の支配の普遍性と固有性)にくわえて、アジア、アフリカ諸国における「法の支配」の問題について、実例をもとに、研究代表者及び分担者により研究を進めていき、整理し、研究の成果をまとめていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により、外国への渡航が許されず、またオンラインでの研究打ち合わせや研究会の開催が主になり、次年度の使用が生じた。オンライン開催を含め、海外の国際学会及び国際セミナーでの研究成果発表のための使用を予定している。
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