研究課題/領域番号 |
20K01453
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研究機関 | 國學院大學 |
研究代表者 |
稲垣 浩 國學院大學, 法学部, 准教授 (30514640)
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研究分担者 |
木寺 元 明治大学, 政治経済学部, 専任教授 (10433418)
小林 悠太 広島大学, 人間社会科学研究科(社), 助教 (30824263)
前田 貴洋 琉球大学, 人文社会学部, 講師 (30844790)
林 嶺那 福島大学, 行政政策学類, 准教授 (60846236)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 人事行政 / ネットワーク分析 / 自治体人事 / 人事データベースの構築 / 中央省庁人事 / QCA / 都市政治学 / 公共政策論 |
研究実績の概要 |
研究2年目となる2021年度は、昨年度から引き続いて研究の基盤となるデータの収集と構築、それにデータを用いた研究方法の検討など行った。 まず、札幌班については、昨年入手した『北海道新聞』紙上から抽出した人事データ(以下、道新データとする)についての研究を進めたが、研究を進める中で一部データの転記ミスなどが露見したことから、道新デジタルメディア社と協働でデータの修正作業を行った。また、同データにはなかった職員の学歴・生年月日・採用年などに関するデータを含む「札幌市役職者名鑑」を一部年度について入手することができたことから、これら記載の各職員の基礎データの入力と、これを道新データへ結合する作業に着手し、22年3月時点で半数程度の入力・結合が終了している。 次に総務班については、「内政関係者名簿」記載のデータの入力作業を進めた。これについては、2022年3月時点で昭和50年以降入省者(警察、厚生、労働、自治、建設、厚生労働、総務)のデータについて、昭和63年版から平成12年版、平成17年版から平成19年版までの入力作業を完了した。残る数年版も終了の目途がついている。 また、これら入力作業中のデータを用いた分析とその方法について討論するための研究会を複数回行った。昨年度同様に、コロナ禍のため対面での研究会はできなかったこともあり、思うように議論が進まなかったものの、研究方法等について一定の目途をつけることができた。 これらの研究に並行して、研究代表者・分担者ともに本研究に資する関連研究として、自治体の組織や人事、政治・行政に関する研究を進め、高いレベルの研究業績を残すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度も一昨年同様、コロナ禍のために、研究代表者・分担者相互の対面を一度も行うことができなかった。そのため、当初予定していた、対面による全体・各班それぞれでの研究報告会や研究の検討会が開催できず、すべてオンラインとなった。しかし、それでもデータベース構築に一定の進展がみられたことから、これらを基にした研究方法等についての検討を行うことができた。 また、札幌班については、コロナ禍が昨年に比べて落ち着いたこともあり、人事関係資料の収集のため札幌へ出張し、「札幌市役職者名鑑」「札幌市機構図」などのデータを札幌市立図書館、札幌市役所等で入手することができた。一方で、札幌市政に詳しい有識者に対するインタビューを1月に予定していたが、コロナ拡大のため実施することができなかった。 総務班については、札幌班同様コロナ禍が昨年に比べて落ち着いたこともあり、データベースの構築に必要な学生アルバイトの雇用を確保することができ、「内政関係者名簿」データベースの完成が近づいた。これにより、総務班については、当初からは遅れたものの、2022年度前半にはデータベースを基にした分析に入る予定である。
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今後の研究の推進方策 |
研究の最終年となる2022年度は、2021年度までの研究結果を踏まえて、以下の作業を進めていく予定である。 第一に、昨年度に引き続きデータセットの拡充・精査である。上述のように、北海道新聞の記事データに加え、昨年度から「札幌市役職者名鑑」のデータ入力と結合を開始した。これらのデータが完成すれば、札幌市の幹部職員(係長級以上)とはいえ、一つの自治体における数千人規模の大規模かつ長期的な異動(配置転換・昇進)、勤続年数や学歴等についての総合的なデータが完成することになる。また、中央省庁人事データについては、ほぼ当初予定のデータベースを構築しているので、昨年度の研究会などで検討したデータを用いた分析を進めていく。また、必要なデータの入力については、2022年度も引き続き國學院大學・琉球大学で学生アルバイトを雇用し進めていくことにする。 第二に、昨年度に引き続いて、分析を行う際の文脈的事情や理論的視座の整理である。特に、行政学や労務研究などにおける人事研究の状況についての調査、札幌市や中央省庁の人事について文献の収集と検討を進めていく。特に札幌市については、引き続き関係資料の収集と共に、昨年度予定していた関係者に対するヒアリングを順次行っていくことにしたい。 第三に、上記の作業結果を踏まえて、データの分析を行う。今年度は本研究プロジェクトの最終年にあたり、構築したデータを用いた分析結果を取りまとめる作業を早急に進めていきたい。また、作業の進行に当たっては、適宜研究メンバー全員による研究会を開催し、研究内容について検討するほか、可能な範囲で外部の研究会や学会での報告を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度において、札幌市役所人事データの作成費用が当初見込みより安く済んだことにより、経費の繰り越しが生じた。これについて、2021年度に国際学会での報告やアルバイトの雇用、対面での研究会の開催についての費用として活用しようとしたが、コロナ禍のためにいずれも当初予定していたように行うことができなかったことから、経費を使用することができなかった。2022年度は、追加データの入力アルバイトの雇用のための費用のほか、人事関係者インタビューでの謝金支払い、国際学会での報告費用(旅費、翻訳料など)、関連資料の収集費用(札幌市などへの出張)などに経費を用いる予定である。
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