研究課題/領域番号 |
20K01458
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
遠藤 晶久 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 准教授 (80597815)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 無党派層 |
研究実績の概要 |
本年度は昨年度に引き続き、無党派層の投票行動パターンに関する経時的分析を整理し、近年の無党派層の投票行動、政治意識の特色の検討を行った。とりわけ、2021年衆院選後に実施した読売早大調査データを用いて、総選挙における無党派層の投票行動について検討を行った。そこでは、投票可能性政党という日本では比較的新しい質問項目を導入し検討を行っている。具体的には、「将来的にその政党に投票する可能性はどれくらいありますか」という質問を各政党について尋ねており、この回答を用いて、日本の選挙における対立構造を描き出した。また、政党支持別、投票政党別(棄権含む)でそれぞれの平均値を算出することにより、今後の有権者の行動について把握しようと試みた。無党派層について投票可能性質問から見られる傾向としては、2000年代の反自民党的な「無党派層」像とは異なる行動パターンが観察されている。すなわち、2000年代では無党派層が投票に行くと民主党に有利になると考えられてきたが、現在においてはその限りではない。無党派層の投票可能性の高い政党には野党(立憲民主、維新等)だけでなく、自民党も含まれており、むしろ、自民党がもっとも可能性が高いという結果になっている。この点について、今後も検討を進めていく。 また、無党派層概念についての理論的検討も同時に進めており、検証すべき質問項目案を作成、検討している段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ウェブ調査で検証する仮説の再検討に時間がかかり、ウェブ調査実施を見送ったため。
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今後の研究の推進方策 |
無党派層の類型(「政治的無関心層 」「政党拒否層」「脱政党層」あるいは「消極的無党派層」「積極的無党派層」)が現代でも適用可能かを検討する。とりわけ三類型について は、これまで調査で明確に聞かれたことはなかったので、この質問項目の検討がこの段階では鍵となる。これと同時に、有権者の政策選好空間について無党派層との関係を中心に検討を行い、現代の流動化しつつある日本の政党政治において無党派層が果たす役割について明らかにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
ウェブ実験の実施を先延ばししたためである。本年度、引き続き、理論的検討を進め、ウェブ実験を実施する予定である。
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