研究実績の概要 |
本年度は、まず、現代日本の政党政治と選挙についての理解を深めるために、2019年参院選、2021年衆院選、2022年参院選における有権者の投票行動について分析を行い、この間の有権者の投票行動のパターンについて探った。具体的には、有権者が望む政党システムについて記述的に明らかにした跡、近年の日本政党政治と業績投票、イデオロギー投票の関係について分析した。本研究が示唆するのは、野党共闘を経た立民がイデオロギー政党として有権者から認識され、政権批判票の受け皿として幅広い有権者にアピールできなくなってきている可能性である。他方で、維新は政権担当能力の評価があがっているものの、その受け皿として取って代わったという程の実力はまだないようである。 さらに、本研究課題では、日本の無党派層の投票行動について、1996年から2021年の世論調査データ(JEDS96, JEDS2000, JSS-GLOPE2003-04, GLOPE2005-07, Waseda-CASI&PAPI2009, 読売早大調査2018、読売早大調査2021)を用いて分析を進めた。その際に、無党派意識の強い積極的無党派層の投票行動について特に関心を払い、消極的無党派層との投票行動パターンの差異を検討することを試みた。具体的には、無党派に対する感情温度を用いて、衆院選比例区での投票行動への影響を検討した。また、各政党への政権担当能力評価についても無党派感情温度がどのような影響を与えているかを検討した。
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