研究課題/領域番号 |
20K01461
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
大津留 智恵子 関西大学, 法学部, 教授 (20194219)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | アメリカ政治 / 連邦制度 / 連邦・州・地方の協働 / 市民社会 / 分断化 / 移民 |
研究実績の概要 |
2023年度は、調査対象と自身との日程調整の関係でアメリカでの現地調査を実施できなかったため、主として国内での資料調査と書籍・論文からの情報収集を進めた。また、コロナ禍以降拡充された在米シンクタンクのオンラインの研究報告や講演を通して、アメリカの移民・多文化共生に関する現地の最新の議論を入手することができた。こうした情報収集により、次年度に先送りすることとなった現地調査のための枠組み作りを進めた。また、国内学会での討論の機会を活用して、トランプ政権以降のアメリカ政治の特徴と、マイノリティ・コミュニティがそうした変化により受ける影響についての意見交換を行った。 今年度の調査では、2022年秋の中間選挙を経て、連邦、州、地方政体における党派の勢力配分の組み換えが生じた一方、早くも2024年大統領選挙に向けて、特に共和党内で民主党との差別化をめざした内向きの政策が主張される動きが強まった状況を確認した。後者は、本課題が調査対象とする複合的対立の量的だけでなく、質的な激化を導きだしている。こうしたデータを蓄積することで、次年度に現地調査で質的データを加えるための下地作りを行った。こうした量的・質的な対立の激化は、トランプ前政権から後退を続けている共通空間を形成し直す必要性をさらに高めるものであるが、同時にそのための手続きをますます難しくしているのが現状である。そのため、次年度の聴き取り調査で市民社会組織がこの間に実施した対応について焦点を絞って確認することができるよう、資料に基づいた枠組作りを行った。 2023年度の研究蓄積は『国際政治』への投稿論文としてまとめたほか、アメリカ学会で難民に関する報告の討論者として、国際政治学会では地域のアイデンティティの形成を国際関係史の中で論じるパネルの討論者として、研究成果を反映させる形で議論に加わった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍で予定していた海外調査の遅れ分を合わせて実施する計画をしていたが、調査対象との日程調整が不可能であったため、国内での情報収集・調査および研究交流と、オンラインでの研究報告や講演に参加することで補完することとなった。初年度から継続して蓄積している遅れを次年度では取り戻し、最終的な取りまとめを図りたい。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる2024年度は、2か所での現地調査を予定している。一つが、今回組み換えた課題に先立つ課題で、さらなる調査のための情報を得ていたイリノイ州シカゴ市でのラテン系ディアスポラの追跡調査である。前課題の調査において、南部の州に活動拠点を構える組織を軸に、さらに南のラテンアメリカ諸国とシカゴとの間でネットワークが形成されているとの情報を得ていたものの、コロナ禍で調査の実施が延期されてきたものを実施する。 もう一つがワシントンDCにおける連邦議会および移民問題に関連するシンクタンク・NPOの調査である。民主党政権となって、大きな揺れ戻しが期待されながらも、移民コミュニティへの否定的な力が州以下の政府で拡大していることに、どのような対応を実施してきたのかについて情報を収集する。これらに加えて、本年度貴重な知見をリアルタイムで収集できたオンラインによる研究報告や講演会からの情報収集も継続していく。 本年度の調査・分析を踏まえた研究成果は、学会・研究会での口頭報告や雑誌論文としての公表へと結びつけていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度からコロナ禍の影響で、研究の中心を成す現地調査が実施できず、継続的に遅れが生じている。今年度は調査対象と自身の日程との調整が難しく、現地調査そのものが実施できなかったが、調査のための枠組みおよび対象組織とのコミュニケーションは取れており、次年度に後れを取り戻す計画となっている。
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