研究課題/領域番号 |
20K01465
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研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
今井 亮佑 崇城大学, 総合教育センター, 教授 (80345248)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 無投票 / 道府県議会議員選挙 |
研究実績の概要 |
2022年度は二つのことに取り組んだ。 一つは、2023年統一地方選挙に備えた準備である。本研究課題に取り組むにあたり、2011年・15年・19年の統一選の一環として行われた41道府県の議会議員選挙について、種々の情報(たとえば無投票か否か、投票率、現職候補者数、接戦度(次点候補の惜敗率)など)を選挙区単位のパネルデータの形でデータベース化した。2023年4月に行われる選挙を受けて、このデータベースをスムースに更新できるよう、この4年の間に行われた定数の変更や区割りの変更の情報をデータベースに反映させた。 もう一つは、2021年総選挙時に実施したWEBパネル調査の分析である。2019年統一地方選挙の一環として道府県議会議員選挙が行われた41道府県の回答者について、住民票のある選挙区が無投票に終わったか否かで二つにグループ分けし、道府県の政治や道府県議選に関する意識に差異が認められるのかを検証した。そうしたところ、「道府県議選では大勢の人々が投票するのだから、自分一人くらい投票しても、しなくても、どちらでもかまわない」という意見に対する賛否に関して、有意な差異が認められた。具体的には、選挙戦が行われた選挙区の回答者に比べ無投票に終わった選挙区の回答者の方が、この意見に賛成するという傾向が確認されたのである。道府県議選が無投票に終わった選挙区の有権者が、投票する機会を与えられなかったことで、道府県議選で投票することの意義を見出せなくなっていることを、この分析結果は示唆している。無投票を題材とした先行研究では、無投票に終わることがその選挙区の有権者の意識に及ぼす影響についての検証は行われていないことから、この分析結果は重要な「発見」であると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2022年度中に学会報告または論文(投稿論文)の形で研究成果を発表する予定にしていたが、研究以外の業務に思いのほか時間を取られてしまったため、分析結果を出すところまでしか進めることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
「研究実績の概要」に記したように、2023年統一選の一環として行われた41道府県議選について、投票日直後からデータベースの更新を行った。そのデータを用いて、道府県議選で無投票が生じる要因について先行研究とは異なる視点から検討する分析を行い、その結果を2023年度日本選挙学会総会・研究会において報告する。一方、2021年総選挙時に行ったWEB調査の分析については、既に結果が出ていることから、早急に論文としてまとめ、投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画に比べ研究に遅延が生じ、2023年度に入ってから学会報告等研究成果の発表を行うことになったため、研究期間を1年間延長し、23年度の旅費等の支出に充てることにした。
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