研究課題/領域番号 |
20K01466
|
研究機関 | 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所 |
研究代表者 |
川中 豪 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター, 上席主任調査研究員 (40466066)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 民主主義 / 社会運動 / 政治行動 / 政治動員 / 権威主義 |
研究実績の概要 |
感染症の影響で現地調査の実施が不可能となったため、主に国内で作業可能な既存研究の理論に関する整理と、事例研究に進むための土台となる情報の整理・整備に努めた。 具体的には、社会運動型の政治動員・選挙政治の変容に関連して、理論的動向のサーベイによって理論の流れを整理し、また、実証作業のポイントや、利用可能なデータの所在などについて確認した。一方、具体的な事例として想定している東南アジア諸国に関する作業として、まず、フィリピンにおける政権支持に関する定性的、定量的情報の収集、整理を行った。 前者の全体の理論サーベイの成果の一部としては、近年公刊された三つの重要な関連研究を取り上げた書評論文を学術誌『アジア経済』に掲載した。ここでは、構造、制度、文化といった独立変数について、それらが政治行動に与える帰結とその因果メカニズムに関わる議論と実証作業の進展状況を整理・提示した。特に情報技術の進展がこの因果メカニズムに与える影響について注目し、どう理解すべきかについてその方向性を示した。 後者については、フィリピンの事例についての予備的な情報整理として、ウェブ雑誌『IDEスクエア』に世論調査等の情報を整理して傾向を示し、研究のポイントを整理する論考を掲載した。権威主義的な反動がどのような社会階層から支持を得ているのかに注目し、それがどのような期待、どのような選好から生まれているのかについて探り、今後の研究の可能性を提示した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
東南アジア地域への現地調査を実施することがかなわなかった。ただし、その分、国内において理論的な枠組みを考える作業や、必要な情報の特定などの作業は比較的順調に進んだと考える。
|
今後の研究の推進方策 |
海外渡航の可能性がどの程度になるかによって左右されるところもあるが、東南アジアへの現地調査が可能になった時点で、関連研究者との意見交換等を実施し、理論的枠組みの妥当性の検証や、さらに必要なデータ、情報の特定、収集を実施したいと考える。 海外渡航が難しいときには、日本国内からアクセス可能なデータを利用し、検証作業に必要な情報の整備に向けた土台を作る計画である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2020年度に計画していた東南アジア諸国への現地調査が実施できなかったため、次年度使用額が生じた。2021年度は未実施の現地調査、また、当初から2021年度に予定していた現地調査を行う予定である。
|