研究課題/領域番号 |
20K01467
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
馬場 香織 北海道大学, 公共政策学連携研究部, 准教授 (10725477)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 比較政治 / メキシコ / 政党 / 暴力 / 麻薬紛争 |
研究実績の概要 |
本研究は、メキシコにおける暴力と政党政治の関連を解明することを目的としている。初年度は、2018年の大統領選挙および上下両院選挙における新興左派政党の勝利要因についての分析を進めた。Latinobarometro(2018)のデータを使った分析の結果、2014年に誕生した新興左派政党が既存の3政党を抑えて圧勝した要因として、腐敗問題をめぐる既存政党全体に対する有権者の拒否感が影響を与えていたことを明らかにした。このことは、メキシコの政権交代においても「既存政党への怒り」が重要であったことを示している。同じ分析では、組織犯罪のプレゼンスが、棄権・白票の確率を低下させることも示された。先行研究でも分析結果が割れている論点でもあり、今後さらなる詳細な分析が必要である。以上の研究成果については、2020年度日本政治学会研究大会にて報告を行った。 そのほか、構造改革以後のメキシコの財政政策の変遷や、近年の麻薬紛争の動向についても研究・調査を進め、研究会での報告や雑誌・新聞への寄稿を通して、研究成果の発信を行った。 他方、本年度は予定していたメキシコでの現地調査に行くことができず、研究計画の遂行に大きな変更を余儀なくされた。予定していた実地調査については、次年度以降に行うか、オンラインでの調査の可能性も含めて検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実地調査を行えなかったという制約があるものの、日本で入手可能なデータを使った分析やそのほかの調査研究は、概ね順調に進んだため。
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今後の研究の推進方策 |
海外渡航が可能になれば、予定していたメキシコでの実地調査をすみやかに行う。世論調査を使った分析に関しては、モデルを精緻化し、データを整理しなおしたうえでさらなる分析を進める。2018年選挙の分析を中心とする、メキシコの政党システム変容については、2年目の夏までに学会年報向けの論文としてまとめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた2度のメキシコでの実地調査を行うことができなかったため。また、国内出張も制限され、資料収集や研究打ち合わせなどを見合わせ、旅費を使用しなかったため。
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