研究課題/領域番号 |
20K01467
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
馬場 香織 北海道大学, 法学研究科, 准教授 (10725477)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | メキシコ政治 / 女性議員 / ジェンダー暴力 / 政党 |
研究実績の概要 |
本年度の前半は、後半に予定したメキシコ実地調査に向けての準備を行った。とくに、暴力をめぐる研究テーマとの関連からフェミサイドを含むジェンダー暴力に着目し、近年同国において法整備が進んだ「女性に対するジェンダーに基づく政治的暴力」を防止するための一連の法改正について、議会や市民社会の動きに関する整理を進めた。法整備の背景には、2014年のパリテ改革以降加速した女性議員の増加があり、女性議員による実質的代表を示す事例であると考えられる。この点に着目し、実地調査では議員へのインタビューを中心に資料収集を行う準備を進めた。 後半は、2022年11月から2023年1月の3ヶ月間メキシコシティに滞在し、現職の連邦議会議員、選挙管理委員会評議員、女性運動活動家などへのインタビューを中心に、実地調査を行った。インタビューを通じて、女性議員の増加と、暴力を防止する法改正の進展の歴史的経過を確認するとともに、議会の記録資料や法案データの収集、整理を行った。ここまでの研究の成果について、クオータ制の効果・帰結を国際比較する趣旨の論文集において、メキシコに関する章(「メキシコ:パリテ議会がもたらすパリテの深化」)を担当する形で論文を執筆したほか、2023年度に国内で行われる学会で「Gender Parity and Women’s Substantive Representation: Evidence from the Mexican Congress」と題する研究報告を準備中である。 同時に、政党や政党システムに関して、2000年代以降のメキシコの政党制の変容やその背景について、ラテンアメリカ各国との比較の視座から検討を進めた。研究の進捗は、国内の研究会で年度中に3回の研究報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
パンデミックの影響で、メキシコで予定していた実地調査が大幅に遅れ、また当初予定していた地方の選挙における暴力に関する資料へのアクセスが困難となった。このため、テーマをやや修正してジェンダー暴力に焦点を絞り、政党間競争の観点に加えて女性議員の実質的代表という視点から研究を進めた。本年度後半には実地調査を行うことも叶い、論文の執筆をはじめ、今後の成果発表に向けての準備もおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
実地調査で得た資料を中心に、成果をまとめる材料はほぼ揃った。最終年度は成果論文の国際学術誌への掲載を目指すため、まず国内での学会で研究報告を行い、フィードバックを得る。そのほか、研究会等での報告も予定している。さまざまな学術交流でのフィードバックを通じて、論文の質を高め、最終的に学術誌への投稿を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
パンデミックの影響で、予定していたメキシコの実地調査を短縮して行ったことや、研究会がオンライン開催となったことにより、次年度使用額が生じた。取りまとめた成果の報告のための旅費や、英文校正の費用などとして使用する予定である。
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