本研究では、冷戦時代のアメリカの新たな核兵器の開発が逆に日本政府の国内政治上の対応を難しくした政策事例として、1964年の原子力潜水艦の日本寄港問題を取り上げ、原潜の日本寄港に至る政治外交過程を明らかにした。本研究では、①アメリカが同盟国への原潜の寄港を検討する過程、②1961年の日米首脳会談(寄港の打診)、③1963年に再び原潜寄港が打診され、原潜が佐世保に入港する迄の過程を考察した。その上で、日本の既存の法制度が想定していなかったところにアメリカの核兵器技術の変化が起こり、国会で政治争点化したことで政府が法制度上の検討に迫られるという、核兵器の持ち込み問題をめぐるある種の構図を提示した。
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