研究課題/領域番号 |
20K01488
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研究機関 | 愛知大学 |
研究代表者 |
岡田 健太郎 愛知大学, 法学部, 准教授 (50641255)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 独立調査委員会制度 / 王立委員会 |
研究実績の概要 |
本研究では、カナダなど旧英領諸国で幅広く用いられる独立調査委員会(王立委員会 Royal Commission, Commissions of Inquiry, Public Inquiry)制度について、その法的枠組みと政治的・社会的・歴史的役割を比較の視座から分析し、その制度的特徴や構造を明らかにすることを目的としている。 本年度は、コロナ禍の影響が甚大であり、予定していた現地調査や関係者へのインタビュー等が行えなかったが、研究計画や研究の方針を変更し、初年度は研究テーマに関する文献調査や独立調査委員会資料の読み込みなどを中心として研究活動を行った。 以前に採択された科研費若手研究(B)「カナダにおける討議デモクラシーの発展に関する研究 ‐王立委員会から市民議会へ‐」(2013年~16年)は、市民の政治参加の観点からカナダにおける選挙制度改革市民議会に注目したものであったが、その研究成果報告書では、選挙制度改革市民議会の原型が独立調査委員会(王立委員会)制度にあり、選挙制度改革市民議会はそれを応用して活用したものではないかとの見方を示唆した。本年度はその点についての研究も継続した。また、独立調査委員会の一般名称として、広く人口に膾炙している「王立委員会(ロイヤル・コミッション)」の「王立」の意味にも注目して研究を行った。独立調査委員会(王立委員会)は、現代においても形式的にではあるにせよ、カナダでは国王の代理人である「総督Governor General」が設置するものであり、歴史的には君主制に由来する制度である。その点についても研究を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍の収束が見通せないなか、現地調査による情報収集やインタビューが行えないなど、本研究課題の進捗状況には大きな影響があった。2020年度夏に開催予定だった国際学会での研究報告も、学会自体がキャンセルされてしまったため行えなかった。 他方、現地調査や学会報告を次年度以降行うこととしたうえで、本年度は文献調査、オンライン上での情報収集などに力をそそぐこととなった。その結果、ある程度想定していたことではあったのだが、独立調査委員会制度そのものについてや、独立調査委員会が作成した資料、委員会報告書と付随する公文書等が近年特にオンライン上で公開され、それらを活用した研究活動も十分にとは言えないまでも、ある程度は可能であることをあらためて把握することができた。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍で研究計画そのものが初年度から大幅な変更を余儀なくされ、さらには次年度以降の研究活動もおそらく変更を余儀なくされることは確実であると思われる。大きな問題は、現地調査と関係者へのインタビューができないことだが、他方研究期間の初年度次年度に、入手できた文献や資料調査をしっかりと行う方針で今後研究を進めていきたい。コロナ禍がある程度収束した段階で、現地調査や学会報告も行うこととしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の収束が見通せない状況で、現地調査や学会報告を実施できなかったため。
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