研究実績の概要 |
本研究では、カナダなど旧英領諸国で幅広く用いられる独立調査委員会(王立委員会 Royal Commission, Commissions of Inquiry, Public Inquiry)制度について、その法的枠組みと政治的・社会的・歴史的役割を比較の視座から分析し、制度的特徴や構造を明らかにすることを目的としている。この数年来コロナ禍の影響は甚大であり、現地調査やインタビュー、海外学会参加と報告ができない状況が続いているが、昨年度に引き続き、文献の収集や調査、資料の精査を中心に研究を進めた。なお、23年度以降は現地調査なども可能となると考えている。 本研究ではこれまで特に、王立委員会の「王立」という部分に注目し、この制度が君主制に由来するものであることから、その点についての歴史的な分析を進めていたが、2022年度は独立調査委員会制度そのものの運用や機能等についての考察を行い、研究を公表することができた。その際、独立調査員会を実際に運営するコミッショナーら首脳陣や事務局、そして独立調査委員会設置に向けて動いた連邦政府側の思惑や企図についても分析を行うことができた。現地での一次資料の調査ができないままの研究となったため、資料は二次文献に頼らざるを得ず、その点不十分なところもあることを認識したうえで研究をすすめた。 23年度は、連邦レベルの独立調査委員会のみならず、州レベルでの独立調査委員会制度の運用についても考察を深めることとしたい。
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