研究課題/領域番号 |
20K01490
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
安 周永 龍谷大学, 政策学部, 教授 (10612393)
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研究分担者 |
植村 新 関西大学, 法学部, 准教授 (10733975)
北川 亘太 関西大学, 経済学部, 准教授 (20759922)
Noh SungChul 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 准教授 (90758492)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | プラットフォーム労働 / 政治経済学 / 比較政治 / 労働法 |
研究実績の概要 |
本研究は、プラットフォーム労働の拡大に対して日本と韓国ではどのように対応されており、欧米に比べてどのような違いが生じているのかを分析してきた。最終年度には、研究代表者と研究分担者のそれぞれの専門分野である政治学、経済学、経営学、労働法という異なる分野から本テーマに関する研究交流の必要性と課題を確認することができた。最終年度まで下記の三点を明らかにすることができた。 第一に、プラットフォーム労働者を労働法で保護する方法がどのようになされているのかを明らかにした。労働者性をどのように判断するかという問題は、この就労層をいかに保護するのかと密接にかかわっており、国によって異なっていることが確認できた。 第二に、従来の社会保障システムの改革に関する違いを明らかにした。今までの社会保障システムは、雇用関係を前提とし設計されているため、プラットフォーム労働をはじめ、「雇用関係によらない働き方」は社会保障システムから除外されてしまう。そのため、従前の社会保険制度を、賃金ではなく所得を前提としたものに変更するとともに、労使折半という保険料負担方法を変更する必要がある。韓国の方で「全国民雇用保険」という形でそれに関する改革がさらに進められており、各国の違いが確認できた。 第三に、今までの雇用関係を前提とした社会保障システムを根底から修正するベーシックインカムの導入に関しても検討してきた。韓国では城南市という自治体で、青年基本所得という名称で制度化されており、これをめぐる論争が行われている。 以上のように、プラットフォーム労働の問題に対応する政策が取り上げられるが、従来の再分配構造や労使関係を根底から変化させるものであり、それをめぐる対立も激しくなっている。本研究は、その対立による帰結を分析するための知見を整理できたと言える。
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