研究課題/領域番号 |
20K01494
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
新海 英史 中京大学, 国際学部, 講師 (00786080)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 国家主権 / EU / 北欧 / 国境管理 |
研究実績の概要 |
2020年度は新型コロナウイルスの発生及び全世界的な拡大によって、特に大きな被害を受けた欧州地域への渡航が困難となってしまったために、私の研究活動にも大きなブレーキがかかってしまった。そのため、論文作成をするための資料収集が立ち行かなくなってしまった。当初予定では、2010年頃から2015年秋の多数の難民が欧州に移動したいわゆる「欧州難民危機」を経たことで、北ヨーロッパ地域(具体的にはデンマークとスウェーデン)の国境管理が具体的にどのようにかわったのか、その背景には国家主権の考え方がどのように作用していたのか、また、国境管理の変化によって移動の自由を旨としてきた欧州統合の流れにはどのような影響が見いだせるのかを過去の政府報告書の分析や関係者への聞き取りから明らかにしていく予定であった。しかし、新型コロナウイルスの発生によって資料収集が予定通り進まなくなったことや「感染症」という古くて新しい問題によっても国境管理が強化されうるという新しい問題群に遭遇したことで、「難民」の存在のみを重要な要素として組み立てていた研究の方向性について若干の軌道修正が迫られているのが現状である。いずれにせよ、2020年度については海外渡航ありきで組み立てた研究計画であったが、それが今や完全にとん挫したことで、その立て直しを急いで行うことに追われてしまい、研究成果を出すことが困難となった。そのため、2021年度においては大きな立て直し作業を行っていく所存である。具体的には研究の方向性と方法を見直し、現時点で収集可能な情報に基づいた論文作成を目指している。また、2015年前後の難民中心の議論と2020年前後の感染症中心の議論に何か共通点や差異がないかについても分析対象として検討していく所存である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルスの発生によって、海外渡航が事実上不可能となってしまった。関係者への聞き取り活動やアーカイブ資料を調べるためにデンマーク、スウェーデン、及びEU本部があるベルギーに渡航することが出来なくなった。また年度末期に大病を患ったことが分かり、その手術・療養対応で若干時間を要したが、今後は研究の方向性を再検討し、2021年度に複数の論文を発表することで後れを挽回したい。
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今後の研究の推進方策 |
当面の間はコロナ禍の状況に全く好転が見込めないため、海外渡航が可能になるまでの期間はオンラインリソース等を活用した資料収集活動を行っていく予定である。具体的にはスウェーデン政府、デンマーク政府、及び欧州委員会司法内務部等に掲載されたプレスリリースや過去の報告書を2010年代から2020年までをフォローし、欧州難民危機前後での国家主権の位置づけについての記述を拾い上げていくことに注力し、これらの資料分析を踏まえた論文を2021年度中に発表する予定である。その作業を補完するため、各国政府やEUが出版した過去の関連分野における各種報告書等についても別途入手していく予定である。また、難民を中心に議論を組み立てていたが、2020年前後の国境管理について情報収集する際は感染症というファクターについても検討する方向で研究の方向性を組み立て直す予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は新型コロナウイルスの発生及び全世界的な拡大によって、本研究が対象としていた欧州地域も大きな被害を被ったことで、そもそもの海外渡航が不可能な状況となってしまったが、今後のワクチン接種の状況が好転すれば、再び現地調査を行う可能性が高まってくる。それが2021年度中である可能性も否定できない。よって、海外渡航を行う経費は必要となる。また仮にコロナの状況が好転しない場合でもオンラインリソースや各種書籍等を購入する必要性もあるため、引き続き研究費が必要となる。
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