研究課題/領域番号 |
20K01508
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研究機関 | 広島市立大学 |
研究代表者 |
武田 悠 広島市立大学, 国際学部, 准教授 (60638328)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 日本外交史 / 原子力平和利用 / 核不拡散 / プルトニウム |
研究実績の概要 |
本研究は、原子力平和利用と核不拡散を両立させるべく議論されたプルトニウムの国際管理構想に日本が果たした役割を明らかにしようというものである。核弾頭の材料ともなるプルトニウムについては、実現してはいないものの、国際管理し軍事転用を防止する構想が繰り返し議論されてきた。特に本研究が取り上げるのは、一連の構想の中でも最も実現に近づいた、1978年から1982年にかけての国際プルトニウム貯蔵(IPS:International Plutonium Storage)構想である。 日本に加えこの構想に深く関与した米英の公文書を参照することで、この構想の経緯と日本の関与を明らかにし、国際政治問題に関わってこなかったとされる冷 戦期日本外交のイメージを修正することを目指している。 この目的のため、2021年度には国内での史料収集と対象時期に米大統領を務めたジミー・カーターについての先行研究の精査を進めた。前者については、特に新たに外務省外交史料館で公開されたファイルを調査し、IPS構想の議論では北の先進国と南の途上国の対立が激しかったと言われてきたものの、実際にこの構想が挫折した過程で重要だったのは先進国内部の対立だったことを示唆する交渉経緯を明らかにできた。こうした成果を基に、来年度の投稿・刊行を目標に論文の執筆を進めている。また研究の背景として重要な後者の先行研究調査についても、その成果を2021年12月の国際安全保障学会年次大会で報告し、その際のコメントを論文に反映させることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の蔓延が続くなか、海外での史料調査は実施できず、国内での史料調査も回数を減らさざるをえなくなった。ただし、国内での史料調査と関連する先行研究の調査で成果があり、これを基に論文執筆と学会発表を進めることができたため、「やや遅れている」と評価している。
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今後の研究の推進方策 |
現時点では、2022年度中は国内での史料調査を進めると共に可能であれば海外での史料調査を行うことを計画している。これらの活動が不十分ないし不可能となった場合は、現時点で利用可能な史料を用いて研究成果をまとめ、論文として投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の蔓延が続いたため、予定していた国内外での史料調査等が実施できず、使用額が計画よりも少なくなった。そのため2022年度に未使用額を繰越し、国内及び可能であれば海外での史料調査に使用することとしたい。
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