研究課題/領域番号 |
20K01513
|
研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
小林 良樹 明治大学, ガバナンス研究科, 特任教授 (90596967)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | インテリジェンス / 情報機関 / アカウンタビリティ / ガバナンス / 民主的統制 / 民主主義 / 情報監視審査会 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は「日本のインテリジェンス機関に対する民主的な監視制度の今後の具体的な在り方の解明」である。欧米諸国と日本の関係諸制度の比較分析を通じ、日本における民主的な監視機関の望ましい設置形態、権限範囲、構成員の属性・規模等の解明と提案を行うことが目標である。当初計画では、2022年度には諸外国の制度調査結果を踏まえ、日本における望ましい監視制度の在り方を検討する予定であった。これまで、新型コロナウイルス感染症により海外現地調査が未実施であるものの、日本国内における文献調査、聞き取り調査等により一定の前進を遂げている。 2022年度中の主な成果は次のとおり。 【論文発表】 小林良樹(2023年4月)「インテリジェンス組織に対する国民の認識:米英加における世論調査の結果分析」『ガバナンス研究』19, pp. 57-97.(単著) 【学会報告 Kobayashi, Y. (March 16, 2023). Evaluating Japan’s Intelligence Community Integration: Is the CIRO (Cabinet Intelligence and Research Office) functioning well? International Studies Association (ISA) 2023 Annual Convention (Montreal, Canada).(単独)
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画では、2022年度は、2020-21年度における海外の関係機関の実態調査を踏まえ、日本における望ましい監視制度の在り方に関して検討を行う予定であった。 新型コロナウイルス感染症感染拡大により2020-21年度に当初予定していた海外現地調査等が十分には実施できず、2022年度も海外渡航費用の高騰等により状況は十分には改善しなかった。他方、日本国内における文献調査、聞き取り調査等により、前記の課題に関して、完全ではないものの一定の前進を遂げることができた。 2022年度中の具体的な研究成果に関しては、当初計画どおり、海外の関係学会(International Studies Association 年次大会(2023年3月168日)、American Society of Criminology 年次大会(2022年11月16日)において報告を実施した。 また、単著論文発表(小林良樹(2023年3月)「インテリジェンス組織に対する国民の認識:米英加における世論調査の結果分析」『ガバナンス研究』18, pp. 43-71;Kobayashi (June 2022), Y. "Characteristics of Terrorism Prevention Measures in Japan: An Integrated Framework of Causation and Opportunity," Meiji Journal of Governance Studies 7 pp. 37-51 Theories" )の出版を通じても発表を行っている。 加えて、関係政府機関(内閣幹部、自衛隊、財務省、参議院事務局、警視庁等)の部内研修における講演を通じ、研究成果の実務家に対する還元も実施した。
|
今後の研究の推進方策 |
当初計画では、2023年度の課題は、2020-21年度の課題(①日本の情報監視審査会の実態把握、②欧米諸国のインテリジェンス機関に対する民主的監視機関の実態把握)及び2022年度の研究結果(①各国の制度の比較分析、②日本の制度の具体的検討)を踏まえ、①日本における政策案の実現可能性の検証、②研究成果の総括・報告、を実施することとなっている。 全体として研究は概ね順調に進展しているものの、2020-22年度の予定課題に関しては、コロナ禍による海外現地調査の未実施もあり、一部不十分な点もある(特に、欧米諸国のインテリジェンス機関に対する民主的監視機関の実態把握)。 こうしたことから、2023年度は、これまでの予定課題の「積み残し」部分及び2023年度の予定課題の双方に同時に取り組むこととする。具体的には、①関係文献調査、②国内の関係者に対する聞き取り調査、に引き続き取り組む予定である。 研究成果に関しては、引き続き、海外の学会発表(国際関係学会 (ISA)、米国犯罪学会(ASC))、論文発表等を目指している。 課題として、コロナ禍以降の海外渡航費の高騰により、当初計画通りの海外出張による現地調査(米、英、加、豪)の完全実施は事実上困難となっている(特に、未実施である英、豪での調査)。こうしたことから、オンラインによる海外現地関係者への聞き取り実施や文献調査等国内において実施可能な代替策を可能な限り実施する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2020-22年度にかけて、コロナ禍及び海外渡航費用の高騰により、当初計画していた海外出張が実施できず、当初計画どおりの支出ができなかった。 現在の海外渡航費の高騰状況が継続すれば、当初計画のうち、豪、英での現地調査は断念せざるをえない。2023年度には、再度米国における学会発表を優先して実施したい。
|