研究課題/領域番号 |
20K01518
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鈴木 早苗 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (30466073)
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研究分担者 |
湯川 拓 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (80728775)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 事務総長 / 国際機構 / 個人属性 / 権限 / 権威主義 / 民主主義 |
研究実績の概要 |
2021年度は、地域機構の運営に対する域外からの規範的な影響を分析するため、地域機構の事務総長の出自に注目して関連する作業を実施した。第一に、地域機構を含む国際機構の事務総長に関する文献を改めてレビューした結果、事務総長の役割の限界を指摘する傾向にあること、事務局に関する分析の蓄積は進んでいるものの、事務総長の分析はまだ深まっていないこと、事務総長の実証分析、特にデータセットの作成がほとんど行われていないことがわかった。 そこで、第二に、政治家の出自やキャリア、そのほか個人の資質に関係する要素に注目するPersonal Biography Approach (PBA)に注目することが有用なのではないかと考えた。PBAは、これまで主に国内政治におけるリーダーの分析に適用されてきた。このアプローチを国際機構の事務総長に適用しようという試みである。 第三に、特定の専門分野ではなく、包括的な問題領域を扱っている国際機構を取り上げ、その事務総長に政策策定においてどのような権限が付与されているか、事務総長が就任前にどのようなキャリアパスを辿ってきたのかなど個人的な属性に関するデータセットを構築した。 最後に、このデータセットを使って、国際機構の加盟国の民主化レベルを元に、国際機構の民主化度合いを三つに分類し、事務総長の制度的要素と個人的属性との関係を分析した。その結果、権威主義的な国際機構では、外務大臣経験者が事務総長に選出される傾向が見られるのに対し、民主主義的な国際機構では、法学などの専門知識をキャリアにもつ人が事務総長に就任する傾向がみられることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データセットを作成できたことはかなりの進展である。コロナの影響で、予定していた現地調査を実施できなかったが、そうした制約がある中で、データセットの作成は、現地調査に代替しうるものだと考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、事務総長に関するデータセットを活用して、計量分析を用い、様々な切り口で分析を試みる。また、特定の事例について、実際に事務総長が果たした役割を実証分析することも考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響で当初予定していた現地調査が実施できなかったため、当該助成金が生じた。次年度については、現地調査の可能性を探りつつ、今年度構築したデータの精緻化や新たなデータ作成などに力を入れる。この作業のためのリサーチアシスタントの雇用も計画している。
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