研究課題/領域番号 |
20K01519
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
稲垣 文昭 秋田大学, 国際資源学研究科, 教授 (80468545)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | エネルギー安全保障 / 中央アジア / 電力 / 公共財 |
研究実績の概要 |
対立から友好に転じたタジキスタン=ウズベキスタン関係を軸にエネルギー供給を巡る中央アジア諸国間の協力関係について,タジキスタンで2回(2023年9月と2023年11月)、ウズベキスタンで1回(2023年9月)の現地調査を実施した。とくにウズベキスタンの現地調査では,長らく閉鎖されていた陸路でタジキスタンから入国し,両国が積極的に交流をおこなっている実態を確認した。また,ウクライナ戦争で制裁下にあるロシア産のガソリンなど石油製品が中央アジアに安価に流れ込む一方で,タジキスタンなどユーラシア経済同盟非加盟国には一時的に輸出制限が欠けられるなど,エネルギー資源の供給がウクライナ戦争で不安定化するとともに,ロシアの役割を中央アジア諸国が担う動きも確認できた。なおタジキスタンとウズベキスタン関係が好転する一方で,タジキスタンとキルギス関係は国境問題を巡り対立的になっているが,キルギス領内でタジキスタン企業が資源開発を続けるなど,資源分野を巡っては必ずしも対立的ではないことも明らかになった。 研究成果としてまずは第16回グローバル・ガバナンス学会にて「ユーラシアのエネルギー地政学-中央アジアを中心とした旧ソ連諸国の動向-」と題して,中央アジア諸国が電力供給について,協調的関係に転じていることとくにアフガニスタン問題への対応として協調関係が作られつつあることを明らかにした。また,「未だ続く旧ソ連空間再編──資源地政学とエネルギー安全保障の視点から」と題し『三田評論』2024年2月号に論考を発表,旧ソ連空間ではソ連末期から地域秩序再編が続いていることをエネルギー問題を事例に明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究初年度にCOVID-19により海外渡航が制限されたことで生じた現地調査の遅れを完全に挽回することができなかった。とくに,研究成果を論文としてまとめることに遅れが生じた。最終的な研究成果については,2024年度にまとめることとしている。
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今後の研究の推進方策 |
調査自体は2023年度で終わっているので、2024年度は研究成果を纏め発表することに注力する。研究生kは国際学会もしくは査読付きジャーナルに投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究開始年度にCOVID-19にて海外調査の実施が難しく、翌年度以降に予算を繰り越すことになったことが最終年度まで影響した。とくに、研究成果を投稿論文にまとめることに時間を要した。本研究では、最終成果の取りまとめとして学術雑誌への査読論文を計画しており,主にネイティブチェックなど投稿関連の費用として計上していた費用を次年度使用額とした。 そのため、次年度使用額については最終成果を纏めるための資料整理代、オープンアクセスジャーナルへの投稿費用やネイティブチェック代として利用する計画である。具体的には、2024年度10月以降に学術雑誌への投稿を計画している。
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