研究課題/領域番号 |
20K01530
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研究機関 | 清泉女子大学 |
研究代表者 |
大井 知範 清泉女子大学, 文学部, 准教授 (90634238)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 海軍 / 交流 |
研究実績の概要 |
研究期間の初年度(2020年度)に引き続き、今年度も新型コロナウイルスの世界的蔓延が継続したため、本研究の基盤となる海外での史料収集が実施できなかった。また、国内の各大学の図書館も外部利用者の入館を制限していたため、日本国内に所蔵されている研究資料や外国語新聞史料等の利用も思うように進めることができなかった。 以上のような制約があるなか、本年度では、これまで研究代表者が国内外で収集していた諸史料を利用し、20世紀初頭の東アジアにおける各国海軍の交流史について研究調査を進めた。その成果は、軍事史学の専門学術誌『軍事史学』第57巻第3号(2021年12月軍事史学会刊行・査読有)に「二十世紀初頭の東アジア西洋人コミュニティにおけるスポーツと海軍 : ドイツ海軍から見た友好と競争の交流文化」という論題で掲載された。同研究論文では、近代のグローバル化が進む世界において、帝国主義国間の競争と協調がいかなるバランスを保ちながら展開していたか、これまで注目されていなかった軍隊スポーツの観点から考察した。このような視座は、従来の帝国史や軍事史の先行研究にはなかった視点であり、単にその実態の解明にとどまらず、歴史研究の新たな地平を切り開く契機になったと考えられる。 また、史料や文献の所在調査の面でも、イギリス海軍に関する海外の研究文献の収集と閲読を進め、さらにはイギリス国立公文書館をいずれ訪問した際に調査すべき史料のレファレンス情報を整理した。特に文書番号ADM125(Admiralty: China Station: Correspondence)に収録された文書から多くの手がかりが得られると推測を立て、文書の収集計画を策定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2021年度は新型コロナウイルスの世界的な流行がいまだ収束せず、イギリスへの渡航と資料収集が実施できない状況が続いたため。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの流行にともなう各種の渡航制限が解除に向かいつつあるため、2022年度の今年度中にイギリスの国立公文書館へ赴き、現地で史料の調査と収集の活動を本格的に開始する。同時に、これまで収集した研究文献を読み進め、今後の研究の手がかりを得る作業も継続する。 また、いずれ研究期間の1年間の延長を申請し、許可された場合には今年度だけでなく来年度も現地における資料収集を継続し、これまでの研究の遅れを取り戻したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していたイギリスへの渡航と現地での研究調査が実施できず、当初の計画に組み込まれていた旅費の請求をしなかったため。 翌年度はこの繰越金も使用しつつイギリスへの渡航と資料調査を進める。
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