研究課題/領域番号 |
20K01543
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
河崎 亮 東京工業大学, 工学院, 准教授 (20579619)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 安定性 / 先見性 / 非分割財市場 / マッチング |
研究実績の概要 |
今年度は主に先行研究の結果をまとめ,今後の研究を進めるための準備を整えた. まず,先行研究の中で主要研究とされているHerings, Mauleon, and Vannetelbosch (2020)の研究結果についてまとめ,今後関連する経済モデルへの応用についての計画を立てた.この論文では,先を読める先見性を持つプレイヤーとそうでない近視眼的なプレイヤーが混在する場合のマッチング問題の分析を行い,先見性を持つプレイヤーのみが存在する場合や先見性を持たないプレイヤーのみのマッチング問題とは異なる新たな結果を示している.
先行研究の結果の応用先の一つの候補として,マッチング問題と関連があるDemange and Gale (1985)の一般割当問題を分析し始めた.このモデルでは,売り手は分割できない財をそれぞれ1単位所持し,買い手はその財を高々1単位の需要しかない.本質的には,この問題は売り手と買い手の間のマッチング問題である.ただし,このモデルでは単純に売り手と買い手のペアを決定することだけでなく,売り手と買い手がどのように取引を行うか(ここではマッチング契約と呼ぶ)も考慮することが必要になり,そのようなマッチング契約がどのように決まるかを考える問題である.買い手は貨幣のような取引の媒体となる財を所持しているが,従来のモデルと違い,買い手の選好が必ずしも準線形な効用関数で表すことができない状況を考えている.この問題におけるコアとは,そのマッチング契約に対し逸脱することにより得をする売り手と買い手のペアが存在しないことである.今年度の研究ではベンチマークとして先見性を持たない近視眼的なプレイヤーを想定したとき,コアに含まれていないマッチング契約からコアに含まれるマッチング契約が最終的に導かれることを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症により多くの学会がキャンセルになり,情報収集の機会が少なくなっていたことが一因である.特に,海外の学会の参加が難しくなった.また,感染症等による対応で予想以上に業務が増えたため研究に割く時間が減り,当初予定していた研究計画の遂行が厳しかった.
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降は,外部性のある経済モデルのコアとの関連性を調べるための考察を行う.特に,外部性が存在するマッチング問題や公共財の経済を分析する予定である.外部性が存在する経済については,コアの概念が多数存在するため,コアに関する先行研究をまずまとめる.また,時間があれば,より一般的な割当問題のコアの先見的安定性についての分析も行いたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は新型コロナウイルス感染症拡大防止による移動制限のため出張が禁止になり,学会も相次いで中止になった関係により研究のアウトプットに関して予定していた予算が余った.次年度は,移動制限がある程度緩和された場合は,国内出張をする予定である.また,研究に必要な書籍やパソコン等も購入予定である.
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