研究課題/領域番号 |
20K01554
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研究機関 | 創価大学 |
研究代表者 |
大坪 弘教 創価大学, 経済学部, 准教授 (10609027)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 交通渋滞 / ゲーム理論 / 実験経済学 / 限定合理性 |
研究実績の概要 |
交通ネットワークにおけるボトルネック(例:橋、トンネル、料金所、道路工事現場)には一時点で通過できる交通量の上限があり、同じタイミングで限度を超えた利用者が流入することで渋滞が発生する。目的地に着くためにボトルネックを通過しなければならない場合、目的地に何時に到着するかは自らが選択した出発時刻のみならず、他の道路利用者の出発時刻にも依存する。他の道路利用者も同じ状況に直面しており、このような道路利用者間の戦略的相互依存関係こそが、ボトルネック型交通渋滞にゲーム理論分析が要請される意義である。
本研究では、一つのボトルネックを持つ単純な交通ネットワークにおける出発時刻選択問題についてゲーム理論分析を行い、理論予測の検証のために実験経済学に基づく方法で被験者実験を実施する。実験データをベンチマークとなるナッシュ均衡と比較し、どのように乖離しているのかを検証する。また人間の限定合理性を考慮したモデルを使って実験結果の説明を試みる。
初年度である2020年度は、次年度以降の実験実施に向けた準備作業として、(1)離散化した単一ボトルネックモデルのナッシュ均衡の導出、(2)oTreeと呼ばれる実験用プログラム作成ソフトウェアの使用方法の学習および実験用プログラムの作成を行った。過去のゲーム理論実験において、集団レベルの行動と対称混合戦略ナッシュ均衡がおおよそ一致することが知られている。ただし、単一ボトルネックモデルの離散化によりナッシュ均衡を解析的に求めることが困難であることから、(1)ではMATLABを使った数値計算により実験のベンチマークとなる対称混合戦略ナッシュ均衡を導出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020度後半に、oTreeで作成した実験用プログラムを使ってパイロット実験を予定していたが、新型コロナウィルス感染症の拡大により被験者である学生が大学に入構できず、実施できなかった。そのため、実験用プログラムの動作確認および耐久性のテスト、本番実験用パラメーターの調整、ユーザーインターフェースの改良といった作業が延期となったことから、進捗状況は「やや遅れている」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度前半にoTreeで作成した実験用プログラムの動作確認と限定合理性を考慮したモデルのパラメーター推定プログラムを完成させる。実験用プログラムの動作確認については、ボット(Bot)と呼ばれるコンピューター上の仮想の被験者を使った動作確認を検討している。新型コロナウィルス感染症の状況によるが、2021年度後半には延期となっている被験者を用いたパイロット実験を実施したい。
研究を遂行する上での最大の課題は、新型コロナウィルス感染症拡大の影響により、被験者である学生を一箇所に集めた実験の実施が不透明なことである。オンライン実験という方法も考えられるが、統制のとれた実験を行い、より質の高いデータを集めるには対面での実験実施が望ましい。遅くても2022年度中に対面での実験を実施したいが、感染症拡大の収束が数年以内に見込めない場合にはオンラインでの実験実施を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度後半に、oTreeで作成した実験用ソフトウェアを使ったパイロット実験(被験者20名程度)を行う予定であった。しかし新型コロナウィルス感染症の拡大によりパイロット実験が実施できず、そのため2020年度に計上していた人件費・謝金を使用しなかった。
次年度使用額を加えた2021年度予算の大部分は旅費と人件費・謝金が占めている。まず旅費については、2021年度も海外渡航は難しく、緊急事態宣言による国内移動の制限が予想されるため、その大部分を2022年度以降に繰り越すことになる。人件費・謝金については、2021年度後半に延期になったパイロット実験での使用を予定している。
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