研究課題/領域番号 |
20K01559
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
高宮 浩司 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (40333588)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | マッチング理論 / マーケットデザイン / メカニズムデザイン / 社会選択理論 / ゲーム理論 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、新規の応用の開拓に役立てるために、マッチング理論を価格理論の見地から再検討することである。マッチング理論と価格理論とを統一する理論を構築できれば最善であるが、これは遠大すぎるので、部分的な統一を目指し以下の課題の解決を目指す。 (a)価格概念を拡張することで、価格を使わないマッチングメカニズムを価格理論と同一の枠組みに帰着させる。 (b)価格理論における競争均衡とコアとの関係(エッジワース命題)に対応する関係をマッチング理論において確立する。 (c)価格理論における社会選択理論的解釈(ワルラス的社会選択)に対応する解釈をマッチング理論において確立する。 令和2年度には(a)に取り組んだが、予備的な考察にとどまった。重要なのは明らかに価格概念をどのように拡張すべきかであるが、これに対するヒントは、タルスキの不動点定理を用いた安定マッチングの存在証明で使われるマッチング集合上の変換にあると考えた。そこで、この方式による既存の証明をより一般性の高いマッチングモデルに拡張することで、この変換の性質への理解を深めようと試みた。この拡張された証明を論文にし、大学紀要に発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究代表者の所属する大学学部の改組にかかわる業務、コロナ対応などに追われ、研究時間が取れなかった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は数理的な理論研究であるので、方法は本質的には思考のみである。ただし、(a)他の研究者との意見交換や議論と、(b)コンピュータによる数値実験とが、有効な投入であることが経験上わかっている。しかし(a)についてはコロナ禍で行うのが難しい。(b)についても、もっと研究が進むまではどうやら有効ではなさそうであるし、また、研究協力者の助力も必要だが、これも現時点では難しい。したがって基本的に(a)と(b)に頼らずとも研究を進められるよう、できるだけ研究時間を多く捻出できるようにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)コロナ禍で予定していた出張ができなかったこと。および、研究以外の業務の多忙のため研究があまり進められなかったこと。
(使用計画)研究に必要な書籍や物品は適宜購入する。また、コロナ禍が解消したら他の研究者との交流のために出張する。
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