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2020 年度 実施状況報告書

個人の道徳的判断と規範的評価:行動厚生経済学的アプローチ

研究課題

研究課題/領域番号 20K01567
研究機関二松學舍大學

研究代表者

岩田 幸訓  二松學舍大學, 国際政治経済学部, 教授 (10558050)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード行動厚生経済学 / 道徳的意思決定 / 帰結主義 / 義務論 / 道徳的ジレンマ / 二重過程理論
研究実績の概要

2020年度の研究実績は、選択のパラドックスが生じている意思決定者の選択機会をどのように評価するかという問題に関する解決策を提案したことである。選択のパラドックスは、選択肢が豊富であることがかえって選択の満足度を下げるという現象である。この問題はLleras et al. (2017)によって「More is less」効果として指摘されている。本研究では、「More is less」効果が働く場合に、選択機会をどのように評価するかという問題を考察する。まず、選択の自由という観点から選択機会は豊富であるほど望ましいという要請と、最終的な結果の望ましさは尊重されるという要請は両立することができないというジレンマを指摘した。その上で、選択機会は豊富であるほど望ましいという規範的評価は、道徳的ヒューリスティクスの一種であり、これを道徳原理として採用することはできないということを論証した。そこで、本研究は上記のジレンマを解決する方法として、意思決定者が実際に選択した帰結の望ましさによって選択機会を評価する、行為帰結主義的評価法を提案し、その公理的特徴づけを行った。この方法は、選択機会は必ずしも豊富であるほど望ましいというわけではなく、帰結が望ましくなる程度に豊富であれば十分であるという含意をもつ。また、行為帰結主義的な評価法の観点から、選択肢をいつ選択機会に加えることがその機会価値を高めるのかという問題を解明し、さらに行為帰結主義的な評価法を完備化する方法を提案した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究で扱う二つの理論研究のうち、一つ目の研究は概ね完了した。学術論文としての完成度は既に高く、国際学会で発表をしたり、海外の学術誌に投稿したりしている。もう一つの研究も2020年度中に基本的結果が得られており、より完成度を高めるべく2021年度に研究を推進する予定である。

今後の研究の推進方策

二つ目の理論研究に集中して取り組む。基本的結果は得られているが、細かい分析が完了していないので、できるだけ早めに論文を完成させるよう努力したい。2022年度には国際学会で報告したり、海外の学術誌に論文を投稿できることを目標としたい。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍で国内外の学会に参加することができず、旅費の支出ができなかった。2021年度も同様の情勢が続く見込みであり、旅費の支出を減らす予定である。また、電子機器の買い替えを検討しているので、物品費の支出が増えることが見込まれる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Evaluating opportunities when more is less2020

    • 著者名/発表者名
      岩田幸訓
    • 学会等名
      The Conference on Mechanism and Institution Design 2020
    • 国際学会

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公開日: 2021-12-27  

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