研究実績の概要 |
第1に、「プロダクト・イノベーション(新製品の開発投資)」と「プロセス・イノベーション(既存製品の品質改善投資)」の両方を考慮したR&D型経済成長モデルを用いて、再分配政策が、経済成長率と所得不平等に及ぼす影響について理論的に分析を行った。その結果、(1)企業数が調整過程にある短期では、再分配政策は所得不平等を改善するが、経済成長率に及ぼす影響は正、負どちらの場合もあり得ること、(2)企業数が完全に調整される長期では、再分配政策は所得不平等を改善しつつ、経済成長率に正の影響を及ぼすこと、をそれぞれ明らかにした。この成果は "Redistributive Policy and R&D-based Growth" (School of Economics, Kwansei Gakuin University, Discussion Paper Series No.227)としてまとめた。 第2に、2国開放R&D型経済成長モデルを用いて、労働組合が企業の立地選択を通じ、経済成長率に及ぼす影響について理論的に分析を行った。その結果、(1)小国での労働組合の交渉力の低下は、技術知識の国際間での伝播を悪化させ、経済成長率に負の影響を与えること、(2)大国での労働組合の交渉力の低下は、技術知識の国際間での伝播を改善し、経済成長率に正の影響を与えること、をそれぞれ明らかにした。この成果は "Unionization, Industry Concentration, and Economic Growth" (Institute of Social and Economic Research, Osaka University, ISER Discussion Paper No.1154)としてまとめた。
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