研究課題/領域番号 |
20K01571
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
松本 哲人 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (70735828)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | プリーストリー / 自由 / 教育 / 宗教 |
研究実績の概要 |
「自由・進歩・多様性 ― プリーストリー『第一原理』における教育と宗教」(『北海道教育大学紀要. 人文科学・社会科学編』71:1, 63-77頁)を公刊。本稿の目的は,プリーストリーの主著である『政府の第一原理にかんする一論Essay of First Principles of Government』(1768年初版,1771年第二版,以下,『原理』と略記)の特徴を自由論の観点から明らかにすることである。その最大の特徴は,知識を結合させるために政府は必要なものであるが,政府は人々に自由を容認するために存在すべきものであり,個人の活動に干渉してはならないという,徹底的に個人を中心とした社会観の貫徹にある。 本稿は,まずプリーストリーの「政府の第一原理」を明らかにし,次に,2つの自由概念である政治的自由と市民的自由の定義およびその特徴を考察し,その後,市民的自由の中でとりわけ重視された教育と宗教の問題をそれぞれ論じる。そして最後に,プリーストリー『原理』がその後の経済学者たちに与えた影響を考察する。本稿はプリーストリーのユニテリアニズムが社会科学の分野にどのように適用されていたかを明らかにする基礎的な研究となる。彼の統治論や社会政策は、ベルシャムをはじめとしたほかのユニテリアンたちに与えた影響を考える際にその原資となるものであり重要である。本稿で論じられた部分のより個別ないし応用にあたる部分が今後の研究課題となる。しかし、現状においてベルシャム等の他のユニテリアンたちに触れることができていないので、2021年度はその点に焦点を合わせ研究を実施することとしたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の世界的流行において、イングランド本国の図書館等への調査がまったくできない状態が続いている。現状、すでに出版され、入手することが容易な著作を中心に研究を進めているが、簡単に入手することのできない著作や手稿等が今後、必要になることが予想される。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症の世界的流行がどのようになる次第ではあるが、入手することが容易な文献等から確実に研究を行うこととし、新型コロナウイルス感染症の世界的流行が収まったのちに調査すべきことをより明確にし、状況次第で対応できるような対策を整えつつ、研究を進展させることとしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究調査を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延に伴い、研究調査を実施することができず、予算計上していた外国旅費等の支出機会を逸してしまったため。
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