• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実施状況報告書

ドイツにおける秩序経済学の意義と社会国家概念の再検討

研究課題

研究課題/領域番号 20K01574
研究機関名古屋大学

研究代表者

福澤 直樹  名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (10242801)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードドイツ / 社会国家 / 秩序経済学 / 経済秩序 / 経済思想 / 自由主義 / オルドリベラリズム / ネオリベラリズム
研究実績の概要

令和二年度においては本研究課題の二つの主要な柱である ① 秩序経済学の有意性の検討および ② 社会国家理念の基盤となってきた経済秩序や思想と現実政策との関連の検討のうち、後者を主に行った。従前よりオルドリベラリズム(フライブルク学派)の拠点として知られるフライブルク大学の研究グループとともに経済思想の伝統が現実経済や経済政策にどのような影響を与えてきたかについての研究のスタートアップを行ってきた延長として、こちらの方から本研究課題に着手することとし、(古典的:1920年代末-30年代以降のドイツで展開した本来のという意味での)ネオリベラリズムと時々の政治経済的状況との因果関係についての考察を行った。また戦後西ドイツにおいてそれらオルドリベラリズム(ないし古典的ネオリベラリズム)が具体的にどのような経緯で政策ないし政策理念として具現化され、さらに定着したのかを、LoefflerやPtakらの論考を批判的に継承しつつ考究した。
その考察は国内の福祉社会研究フォーラムで(オンラインで)議論され、またフライブルクとも(オンラインで)やり取りを進めてきた。またそれに際して、一つの比較指標として、日本の自由主義思想、就中石橋湛山の思想と社会経済背景、またその現実政策とのかかわりについての考察も行った。
その成果は令和3年4月に行われた名古屋―フライブルクの日独共同ワークショップで報告済みであり、それをうけた暫定的論考を追って公刊する予定である。ただしオンラインでの議論には限界があり、さらに一次資料を用いた検証等は全く行われていないため、それを踏まえた考察を今後さらに展開していく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当該年度においては、新型コロナウイルスの蔓延により、国内出張、海外出張ともに、一切行うことができなかった。そのため、研究に関する打ち合わせや情報交換、研究内容の相互レビューなどもすべてオンラインとなり、十分に立ち入った議論を行うことができず、また一次資料の調査、蒐集に至っては一切行うことができなかった。
また課題を遂行する研究者自身も、教育活動や学内運営に係る新型コロナウイルス蔓延対応に多大な時間を取られることとなり、研究活動のために十分なエフォートを割くことができなかった。それによってまた、必要な文献や各種資料等を十分に完備させることができず、結果的に研究活動そのものに大きな障害が生じていた。
しかし国内、海外ともに、オンラインでのコンタクトや郵便等でのやりとり、文献蒐集などは可能であり、限られた範囲、限られた時間での活動ではあったが、ある程度研究を進めることはできたと考えている。予算の消化においてはかなり想定外の状況となったが、研究課題の進捗そのものが著しく遅れているというわけではない。

今後の研究の推進方策

令和3年度においては、教育活動に関し前年度に構築した体制や前年度に完備させた教材等がすでに存在するため、前年度ほどの負担が発生することはないであろうと予想している。研究活動により多くのエフォートを割きつつ、現行の状況下で入手可能な文献・資料はすべて完備させ、可能な限り良好な研究環境を整備する。
前年度においては「実績報告」の欄に記載した二つの柱のうちの ②(社会国家理念の基盤となってきた経済秩序や思想と現実政策との関連の検討)から研究課題に着手していたが、令和3年度においては ①(オルドリベラリズムの現代的インプリケーションと秩序経済学の有意性の検討)も同時並行して積極的に検討に付す。フライブルク大学の研究グループやヴァルター・オイケン・インスティトゥートとの連携を密にし、秩序経済学の先端と直接のコンタクトをとりながら、その可能性についての考究を深めていく。
コロナ禍の状況を注視しつつ、年度後半にある程度の期間、現地での資料調査を集中的に行い、実証素材や新たな視点の獲得に努めるとともに、内外の研究者との対面コンタクトを通じた所見の報告や相互レビューを通じ、研究をさらに深化させていく方針である。
こうした方針で、本課題において当初計画された研究成果を、なるべく遅滞なく実現させていきたいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルスの蔓延により、国内出張、海外出張ともに、一切行うことができなかったことが一番大きな理由である。また課題を遂行する研究者自身が、教育活動や学内運営に係るコロナ禍対応に時間を取られ、十分な研究時間をとることができなかったため、本来郵送レベルでも対応することのできた内外の文献・資料の渉猟・蒐集においても十分な労力を投入できず、まだ必要なものが完全に備わってはいない状況である。
次年度においては、コロナ禍の状況を注視する必要はあるが、ある程度の時間をとって海外(ドイツ現地)における一次資料の調査・蒐集や、研究協力をしているパートナーとの打ち合わせ、対面での相互レビューなどを本格的に実施し、また遠隔(オンライン)方式では限界があった国内での研究活動(国内出張)も再開したいと考えている。さらに、前年度中に十分に整えることのできなかった必要な文献・資料の蒐集や、必要な機材の完備などに対しても、次年度に回った費用を有効に活用していく計画である。

URL: 

公開日: 2021-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi