研究課題/領域番号 |
20K01575
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
御崎 加代子 滋賀大学, 経済学系, 教授 (90242362)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ワルラス / アントレプレナーシップ / 企業者 / イノベーション / リスク / 利潤 / 一般均衡理論 |
研究実績の概要 |
ワルラスの一般均衡理論は、無時間的調整の仮定により、リスクや不確実性考察は排除されていると一般的に考えられている。ワルラス自身、企業者の存在さえ も捨象可能という想定をしていた。これらの非現実的仮定は、ワルラス・モデルの致命的な理論的欠陥とみなされており、20世紀の理論経済学者たちは、それを より現実的な実証モデルに修正・発展させることに取り組んだ。本研究の目的は、これまで考察されなかった、ワルラス一般均衡理論の企業者にかかわる非現実 的仮定の意図と背景を、思想史的なアプローチにより明らかにすることである。 本年度の計画の主な目的は、当初、研究成果を国際査読ジャーナルに投稿することであった。しかしながら、これまでの国際的な研究成果が認められて、Routledge社から英語による研究書(単行本)Leon Walras’s Economic Thought : The General Equilibrium Theory in Historical Perspective を出版することが8月に正式に決定した。そこで研究計画を、この単行本の完成に変更し、本プロジェクトの研究成果を中心に、関連する論文も含めて、加筆修正をする作業に取り組んだ。 一方、本年度は、コロナの水際政策が緩和され、やっと外国出張を再開することができた。7月と2月にそれぞれフランスのパリとリヨンで本プロジェクトに関する研究発表を行うことができた。 12月には、経営学の国内トップジャーナル『組織科学』に招待論文が掲載された。その内容は、ワルラス からシュンペーターへの影響関係を軸とした、アントレナーシップの歴史の経済思想的な考察であり、本研究プロジェクトの研究成果の一部である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究成果の国際学会での発表と国際査読ジャーナルへの掲載という当初の目的が、Routledge社からの単行本の刊行というより大きな目的に変更され、その完成に向けての執筆状況が順調に進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
単行本の執筆は6月末に終了するため、残る6か月間の研究期間は、本プロジェクトの締めくくりとなる論文の執筆に取り組み、可能であれば、期間内に国際学会で発表し、国際査読ジャーナルに投稿する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入する予定であった図書が円安のために、当初予定した金額よりも上昇したため、残額が不足し、他の研究費により購入した。そのため差額が生じた。 次年度は、航空券の高騰のため当初予定しているよりも多くの旅費がかかると想定されるため、それにあてる予定である。
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